第5話「エマと公子ルムードとの出遭い」

あれから、ルウ達は、昼間は学校に行かせている。幼いルウに心配を掛けないように帰って来るまでにキリは、いつもの町でエマを見つけようとしていた。




一方、エマは薬局に頼まれていた薬を届け、店から出てきていた。

「ふう…今日も良く売れて良かった。お師匠様、喜んでくれるかしら」

エマは、笑顔で金の入った革袋をポシェットに入れると、町の入り口に向かって大通りの道を歩き出す。




その時だ、けたたましい男の怒鳴り声が聴こえたのは。

エマは驚いて、思わず馬車道の方に目をやった。



すると、道には黒色の馬車が一台、止まっており馬の前に若い女性が尻もちをついて、馬車の御者ぎょしゃに必死に謝っているではないか、女性はエマから見て、身重の妊婦に見えた。


そんな女性を心配して、エマは馬車に近づき、女性を庇う。

「やめてあげてください!何があったかは、知りませんが。謝っているじゃないですか!それに、妊婦さんですよ、この人」



「なんだ?お前は、この女は突然、侯爵こうしゃくヴァンハードきょうの馬車の前に飛び出して来たんだぞ!庶民の分際で、侯爵様に逆らうのか、この無礼者が!」


周りには、野次馬達がいたが、ざわついているだけで、誰も助けようともしなかった。

御者は、拳でエマを殴ろうとしたその時、馬車の中から、少年らしき、声がした。



「何か、あったのか?」

金髪の少年は、馬車の小窓から顔を出し、御者とエマを見た。


「あっ、ルムード様、この女が突然飛び出して来まして…それをこの庶民の小娘が庇ったので、仕置きが必要かと」


馬車の小窓から顔を出したのは、紛れもなくあの、洋館の貴族の少年だった。

彼女は、ぽかんと開けた口を、片手で抑えてハッとする。



「あっ、貴方は!」

ルムードと呼ばれた少年は、馬車の扉を開けてエマの前までつかつかと歩いて来た。



「お前は…何だ?愚民ぐみんの分際で、この僕に軽々しく、声を掛けて良いと思っているのか!」

「きゃっ…!」

ルムードは、何とエマを平手打ちして突き飛ばした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やっと、ここまで進みました。

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魔女のエマ~見習い魔女と魔法使いのお師匠様~ 夢月みつき @ca8000k

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