8話 撃たれる

 銀太郎は背後に突然、熱を感じた。


「動くな!」


 背後の熱源から聞こえる声は、冷たく落ちついていた。


「お前に恨みは無いが、死んでもらうよ!」


 その時、銀太郎の脳裏に凜の声が響いた。


「左に動いて!」


 『バオーン』


 大きな、銃声が辺りに響いた。


 身体から肉片が飛び散り、銀太郎は左側に吹き飛ばされた。

 銀太郎の居た所にはバズーカの様に大きな銃を持った黒い人影があり、次の瞬間消えた。


「銀太郎!」


 叫びながら飛んできた彩花と圭太が銀太郎を抱え起こした。


「痛え~!」


 銀太郎は、痛みのあまり絞り出すような声で聞いた。

「な、何が起きたんですか?」


「銀太郎、喋らないで!」

「動かないでね、すぐに基地に戻るから」

 彩花の強いけど悲しげな声は、自分が危機的状態にある事を銀太郎に自覚させた。


「あ・・・」

「ごめ・・・」

「・・・・・・」

 銀太郎の意識は無くなり身体の力が抜けた。


「銀太郎~」

 彩花は泣きながら叫んだ。


 彩花は銀太郎の傷口を抑えるが、血は止まらない。


「圭太、手伝って」

 涙まみれの彩花は、銀太郎の傷口をきつく抑えながら言った。


「おう、任しとけ!」

 圭太が応え、二人は銀太郎を両方から抱えて基地へと消えた。



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時の雫 (ときのしずく)~偽りの神 銀の筆 @ginnopen

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