僕らは音に恋をする

傘木咲華

僕らは音に恋をする

トクトクと 鼓動と混ざる ピアノの

その横顔は 輝いていた


パチパチと 混ざる雑音 はっとして

目に映るのは 拍手の君


空っぽな 心の奥に 溢れ出す

色とりどりな 音符が踊る


嬉しくて あちこち揺れる 夢心ゆめごころ

誤魔化すように 「君もどうかな?」


「少しだけ」 頷く声は ふわふわと

宙に浮かんで 君へと向かう


吐く息が 震えてしまう 何故だろう

君とピアノは まるでパズルだ


懐かしい 何年振りの 鍵盤か

笑えるほどに 色のない音


わからない 君が眉根を 寄せる訳

キラキラ光る 音色なのにな


だったらさ 一緒に弾いて みませんか

視線は何故か 右斜め上


今までは 私一人の 音だった

君の一歩で 世界が変わる


楽しいと 思う心は 本物で

なのにどうして 君は眩しい


悔しいと 思うくらいに 美しい

君の音色に 背中押される


ピアノ弾く 君の姿が 遠すぎて

隣の僕は 胸が苦しい


片隅に 埃かぶった 砂時計

ひっくり返す 勇気に変わる


恋色に 染まる心に 目を逸らし

君のピアノが 好きだと笑う


ありがとう 君のおかげで 気付けたよ

やっぱり私 音楽が好き


恋と夢 君と僕とで 芽生えてる

似ているようで 逆さまなもの


首傾げ 君の心を 覗き込む

微笑に潜む 涙の予感


見ててねと 叩く鍵盤 軽やかで

いざなう顔が 優しく溶ける


恋をした 音の中には 君がいる

笑顔の君も 必要なんだ

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僕らは音に恋をする 傘木咲華 @kasakki_

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