第28話 ミルト君の特別授業②
「なるほど、【ディテクト】か。 確かそれは広範囲の探知魔法で敵やミミックなどの擬態モンスターを探知するのに重要な魔法のはずだ」
「それをファガーソン家は無能魔法と断じたんでしょうか?」
「多分ね。 校長先生から聞いた話じゃファガーソン家は攻撃魔法こそ至高で他の魔法は無能と主張する家系じゃないか」
「その通りです。 ミルト君は攻撃魔法を持たなかったから追放されたようですし」
ミルト君の魔法【ディテクト】を巡り、トッシュ先生もラビ先生もその魔法の有用性とそれを無能扱いにしたファガーソン家に不快感を示していた。
まぁ、攻撃魔法こそが至高とするファガーソン家に他の魔法の有用性を説明した所で聞く耳持たないだろうと予測はできるがね。
「なら、その【デティクト】の魔法を実際に見せてもらおう」
「はい」
(楽しみだね。 彼の【ディテクト】を実際に見るのは)
トッシュ先生の一言でミルト君は頷く。
両手に魔力を集中して、脳内詠唱を始めている。
ボクはと言うと、ミルト君の【ディテクト】を見れることにワクワクしているのだ。
実際にどんなのが浮かび上がるのだろうとね。
「【ディテクト】」
ミルト君が魔法の名前を発すると同時に、彼の前に四角い何かが浮かび上がる。
そして、その四角いの何かの中に書き込まれていくが、これは……?
「この学校の大まかな図か。 闘技場を起点としてかなり広い範囲で描かれてるね」
「あ、青色の点が沢山あそこに映ってます」
「そこは2学年の教室エリアだな。 確か2学年は今日は座学と実技の日だったな」
書き込まれたのは闘技場を起点とした学校の大まかな地図だった。
そして、ある場所に青い点が沢山付きだしたのをボクが気付き、トッシュ先生はそこが2学年の教室エリアで座学授業中の生徒たちだと説明した。
しかし、ここまで探知できるのってすごいね……。
「こういう感じで、ダンジョン内部なら敵の数とか一部の罠なんかも察知できるんだ。 それ故、高難度のダンジョンでは重宝されてるんだがな」
「ファガーソン家は多分、それすらも攻撃魔法で全て解決できるって言うんじゃないでしょうか」
「だろうね」
やはりミルト君の使う【ディテクト】は、先生たちのお墨付きの魔法だったらしい。
トッシュ先生による【ディテクト】の説明を聞きつつ、ファガーソン家の考え方に呆れている。
高難度ダンジョンだろうと、ファガーソン家なら、攻撃魔法で解決できるって言うだろうと。
そこで、ボクは一瞬だけ疑問が浮かんだ。
「おかしい話ですよ。 もし、攻撃魔法が通用しない魔物が出てきたらどうするのかと」
「ああ、我々なら昼に教える実技授業で対策させるが、ファガーソン家はどうなるだろうな」
それは、もし攻撃魔法の効かない敵が出てきたらという場合だ。
ボク達は、実技授業で対策を教えてくれるが、ファガーソン家はそれでも攻撃魔法の火力で押し切るのだろうか?
補助魔法も【ディテクト】という魔法も向こうからしたら無能なんだし。
「さて、ミルト君の魔法をお披露目したので、次は風の初級魔法を教えよう」
「火の魔法よりは集中力はいるけど、これもまずは出せるようになることが大事だから、ファイアボールと同じく肩の力を抜いてやっていこう」
「頑張ります、アリスさん」
風の初級魔法【ウィンド】を今度は使えるようにするようだ。
ここでもボクがさっきのファイアボールと同じように肩の力を抜こうとアドバイスをした。
そこでボクに向けて笑顔で頑張るというミルト君。
ううっ、笑顔が可愛い……!
抱きしめたいくらいだよっ!!
まぁ、それよりも彼が【ウィンド】を使えるようになるのを見ておかないとね。
失敗しても傍に居るボクのスカートが捲れるだけで済むようにすればいいし。
魔法学校のアリス~いじめを受けて退学した少女は、新たな魔法学校で花を咲かせる~ イズミント @izumint-789
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔法学校のアリス~いじめを受けて退学した少女は、新たな魔法学校で花を咲かせる~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。