第5話

 あれから、どれほどの月日が流れたのだろうか。


 「うー……ん……。」


 おそらく、久しぶりに目が覚めたのだが、身体がまったく動かない。これはかなり長い時間が経過していそうである。


 まずは目が動くので、周りの変化を見渡してみる。自分を封印した石碑はほぼ崩れ落ちていた。もう少しいい素材を使えば良かった……。


なんにせよ、長い封印が解けたのはそのせいらしい。


 もう数百年は経っているだろうか。そう考えると、もう自分が知る人間はいないだろう。


 数百年ぶりに外の光を浴びる。目が慣れるのにどれだけの時間が掛かるのだろうか。


 そういえば、俺の名前を言っていなかったな。


 俺の転生前の名前は「佐藤秋一(さとうしゅういち)」。転生後の勇者のときは「アラン・コラリス」、アランと呼ばれることが多かった。


 もうこの時代に俺のことを知る人間はいないだろう、気負わずに世界を見る旅を始めてみようじゃないか。

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伝説の勇者、千年の時を超えて でるぴん @chrono0520

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