第4話 英語の授業
2年生になって、はじめての英語の授業の日。
私の学校では2クラス合同で英語の授業が行われる。その中で学力順に3つのクラスに振り分けられるというのがお決まりだった。
私は1番下のクラスだった。担当の先生から座席を発表され、席についた。「最悪だよ。お前かよ。」と声が聞こえて右を向くと君がいた。そう、私の隣の席にいたのは君だった。
「そんなこと言わなくてもいいのに。」そう答えると、君は無視をして後ろの席の友達と話始めた。
これが、私と君が初めて言葉を交わした瞬間だった。
それ以来、英語の授業中にはお互いにいがみ合うようになっていた。
「隣の席の人とペアになって、音読の練習をしてね。」そんな先生からの指示を無視して、2人揃って後ろの席の人とペアを組んで音読をした。
「隣の人と前に出て、教科書の文を暗唱して発表するよ。」と言われた日には2人とも少々めんどくさがりながら「早く次の文読めよ。」「読んだじゃん。聞こえてないの?」
「お前、ちゃんと暗記できてんの?」「そっちこそ、単語もろくに読めてないじゃん。」などとほぼ喧嘩のような感じで練習をしながら、気まずい雰囲気のなかで発表をしていた。
でも、君はいつも喧嘩腰のくせして私よりも早く自分の文章を暗記して、その後に私の文章も暗記して、発表中に忘れた時には助けてくれていたのだった。
そんな日々が2ヶ月くらい続いたある日のこと。
「そろそろ、席替えでもするか?」という先生の声掛けがあった。
みんなは嬉しそうにソワソワする中、「別にしなくていいよ。このままで。」という言葉が耳に入ってきて、私はすごく驚いた。
その言葉を発したのが君だったから。思わず君をじーっと見ていると、目が合ってしまった。「なんだよ。べつにこの席気に入ってるし、お前をいじるのおもろいし。」と言い、少し恥ずかしそうにしていた。
いつもとは少し違った君を見て、不器用なだけで本当はいい奴かもしれないと私は感じたのだった。
拝啓、君へ @tobenaipenguin
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