ネコ山ひとり読み台本

ネコ山

ひとりといっぴき

猫のスピカとご主人(飼い主)の

出会いから今日のお話。


ご主人の「」以外はスピカの心の声です。

上演される際はおひとりでも二人でもお楽しみ頂けましたら幸いです。

上演時間目安5分前後


※話の改変、過度なアドリブ不可。


〈登場人物〉

・スピカ

子猫のとき、

ご主人に助けてもらって元気になったネコ

少しおませさん。

性別不問、一人称変更可。


・ご主人

年齢イコール恋人いない歴の

おっとりのんびりした社会人。

性別不問、一人称変更可。


---------お話はここから---------


去年の冬、

お腹が空いて動けなくなっていたボクをご主人が助けてくれた


ご主人はボロ泣きしながらボクを動物病院へ連れて行った。

動物病院ではニコニコした丸メガネのおじさんが「大丈夫だからね」ってボクのお耳や手を

「眩しくなるよ、ごめんね」って言いながらボクのお目目を見る。


「もう大丈夫ですよ」と丸メガネのおじさんがご主人に言うと、

ご主人は涙と鼻水まみれの顔でボクを抱っこした。


ご主人:「良かった、良かったよおお!」


って言ったご主人の鼻水がボクの鼻にベッタリついたのは今でもよく覚えてる。


ふかふかなタオルに包まれたボクを抱っこして歩くご主人。


ご主人:「あ、流れ星!ん?たくさん流れ星が見える!!わぁー!すごいなあ!キレイだね!」


ボクがお空を見上げるとキラキラの流れ星がたくさんあったんだ

でも、この流れ星…いろんなお家に落ちてない??あ、まただ!今度はあっちのお家!

ってお家の方ばっか見てたら


ご主人:「星の河みたい!お空とってもキレイだね!…えーと、んーと…キミの名前がまだだったね……青いお目目にふわふわ長いシッポ…流れ星みたい!……んーと、んーと……あっ、スピカ!良いね、スピカ!今日からキミの名前はスピカだよ!」


ご主人はボクにスピカって名前をくれた!


ご主人:「今日からここがスピカのお家だよ」


星降る夜にボクはご主人と一緒に暮らすようになったんだ!


ご主人とコタツでたくさん寝た、冬。

ご主人がお花屋さんで桜の枝を買ってきてお家で一緒にお花見をした、春。

ご主人と一緒に涼しいね〜って床でたくさん寝た、夏。

ご主人がまた失恋してボロ泣きした、秋。


あれから一年、ご主人は


ご主人:「今年のクリスマスも一人じゃない!スピカと一緒!!一人と一匹でメリークリスマス!」


恋人いない歴イコール年齢のご主人、ボクと一緒に暮らす前はどんなクリスマスを過ごしてたんだろう…想像するとちょっと怖いかも…(笑)


ご主人:「スピカと会った日ね、私残業帰りだったの」

「なんで私ばっかり…人生罰ゲームじゃんって思いながら歩いてたら、スピカに会ったの」


ボクはあの日、何日もごはんが食べられなくて…動けなくなっちゃったんだ


ご主人:「私すっごく心配でボロ泣きしてたけど、この子は絶対に助けるって決めたの」


大人の人間があんなに涙と鼻水を流しながら全速力で走るのをボクは初めて見たよ。


ご主人:「普段おどおどした私じゃあ閉まってる動物病院の先生を無理矢理起こすなんて出来ないけど」


たしかに。

ご主人、大家さんにも未だに不審者だと思われてるんだよ。知ってた?


ご主人:「スピカの為に!って思ったら力が出たの!」


ボクが元気になってからのご主人はあの日とは別人みたいで、いつもダラダラしてるもんね。

本当に同一人物とは思えないくらい(笑)


ご主人:「もしかしたらサンタさんが私にスピカを助けるための力をくれたのかも!私良い子にしてたからなあ〜」


!!自画自賛してる!ご主人!


ご主人:「サンタさん、去年私にプレゼント渡しすぎて…今年は何ももらえないかも!?」


そんなこと言ったらボクだってそうだよ!


ご主人:「スピカとの出会いに…一人と一匹、元気に一年過ごせたこととか…まあ、また失恋はしたけど…」


号泣して帰ってきたからあのときは何事かと思ったよ、本当に。


ご主人:「今年のクリスマスは一人と一匹、楽しく過ごしてるよ!ありがとうサンタさん!」


サンタさんってすごい人なんだね!


ご主人:「クリスマスの夜、トナカイと一緒にソリに乗って良い子のお家を一軒一軒回ってプレゼントを届ける…本当にすごいなあ、サンタさん!」


へぇー…って関心したけど、ご主人、手元の絵本を読み上げただけなんじゃあ………ん?


ご主人:「あの日に見た流れ星って、サンタさんとトナカイのソリの走った跡なのかもね」


?!もしかして…


ご主人:「今日からここがスピカのお家だよ」


ボク、このお家に流れ星が入っていくの見たよ!


ご主人「本当に無事で良かった〜…落ち着いたら眠くなってきた…あれ?うちにこんなにふわふわなクッション、あったっけー…まあ、いっかあ〜…あったか〜い……(寝落ちする)」


去年ご主人が寝落ちしたときに下敷きになったこのクッション……よく見たらふかふかの中にくぼみがあるよ?!ちょっと!それ人間用じゃなくて猫用だよ!

…もしかしてそれ…去年、サンタさんがボクにくれたプレゼントなんじゃあ…!


ご主人:「今年はスピカが膝の上にいるからあったかふわふわ〜…(あくびをする)眠くなってきたぁ…(寝落ちする)」


ま、いっか。この冬もお膝の上でぬくぬくさせてもらうからね、ご主人。


-完-

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ネコ山ひとり読み台本 ネコ山 @nekoyama0312

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