彼女は今日も夢を見る

第1話 夢日記第一夜 其の一

今日も夢を見る。

はっきりとわかるのだ。

これが夢だと。

だってこんな事現実に起こるわけがない。

そんなことを冷静に考えている場合ではない。

ここは何処だ。

新しく綺麗なビルのエスカレーターに乗っている。

過去にこんな所にきた覚えがない。

そもそも夢というのは、過去の出来事や直近の出来事を元に

作り出されるそうだ。

つまり此処に似ているところに来たことがあるのだろうか。

最近の記憶でないことは確かなのだ。

日々の仕事で疲れ果てて仕事終わりにショッピングなんて

出来っこないんだ。

そんなのは夢のまた夢。

自分には関係のない世界線だなどとひねくれていた。

この世界に自分の居場所はない。

今日もそんな事を思いながら生きていく。

私はひとりぼっち。