魔王様が「踊る」神様に弟子入り…?「ブレイキン(ブレイク)ダンス」で勝たん!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 100年後の仕返しは、ステキなダンスでいこう!どちらが魔王様なのか、わからなくなってきましたが。痛いな~。

「まさか、魔王様が、あんなことをはじめるとは…」

「驚き」

「モモの木」

「サンショの木」

魔王様の部下たちが、ひそひそ話をはじめた。

近所に住む婆さんにこう言われ、魔王様は、新しいことにチャレンジするようになったらしい。

「あんたは、本当に、この世界の魔王なのかい?強さと輝きに、欠ける。ちっとも、踊れていないじゃないか」

 言われて、くやしかったろうな。

  「…え?あたしかい?あたしは、踊る神じゃ」

そうか。

ならば仕方あるまいと、魔王様が床に手をついた。

「神様、弟子にしてください!」

魔王様のプライド、ずたずたですな。

「魔王よ?あたしは、ブレイキン(ブレイク)ダンスを極めよ!」

「…はい?」

「踊るといえば、ダンスからじゃ!」

「…はい」

ブレイキン(ブレイク)ダンスといえば、2024年のパリオリンピックからはじまった競技。

 4つの要素をもつ、アメリカが起源のスポーツだ。

「トップロック」

基本要素の技。

 立ちながら踏むステップで、ダンス全体の序盤に組み込まれることが多い。

「フットワーク」

 手を地面につき、足を交差する技。

「パワームーブ」

 肩、頭や背中など、全身の回転技。

跳んだりはねたり。

海老フライではない。

もう1つは…。

「今は、ないしょじゃ」

 とにかく、プレイヤーは、DJが流す即興ミュージックに合わせ1分くらい踊る。

「…魔王よ?ついてきな」

天井の破れた、おんぼろな神様隠れ家に、到着。

「踊れ!」

ダンスおばば(神様)が、魔王様に命令してきた。

フロアは、燃えるように熱い。

AIロボットが、ミュージックを奏でている。

「ぎゃー!」

「踊れ、魔王!」

「熱い!」

「良いぞ、魔王!」

「ぎゃあ!」

「ポイント、アップじゃな!」

「ぐああ…!」

 体中から、血。

魔王様にとっては、ある意味、勇者様たちよりも怖い敵。その名は、ダンスおばば(神様)。

 やがて、魔王様の踊りの動きが止まった。

「最後…。ダンスの4つ目の要素が、フリーズじゃ!」

フリーズ…。

 これが、神様がないしょと言った技か。

「さあ、止まれ!魔王よ、激しく動く貴様の心臓までも!」

実は、この神様…。

 100年ほど前に魔王に負けた、勇者御一行様のうちの1人でした。

「ふう…ようやく、仕返しができたわ」







 

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