第2話 「真実は、いつも 1つ!」そう考えて生きていると、痛い目見るっていう話。だって…、はだかのお姉さん像についていた傷っていうのはさ。

 「私ねえ、ストレス解消に、新卒をなぐることがあるんだよねえ」

 言うなあ、高齢者は。

 恐ろしいことをいっていたマツコおばあちゃんの身体には、いくつかの傷が、ついていた。

 驚いたよ。

 その傷は、はだかのお姉さん像についていた傷と、同じだったんだから。

 深夜を、回った。

 時間ごとに、何が起きていたのかを、考える。

 午前 2: 00すぎ。

 俺は、チューリップ広場の、はだかのお姉さん像の前にきていた。

 事件が起きるのを防ぐために、チューリップ広場の見回りを、するのだ。じゃなくて、させられるのだ。

 「ちぇっ。寒いなあ。正社員にこき使われて、こういう役をやらせられる派遣社員の立場って、どうよ?」

 が、待て!

 「何だ、あれは!」

 ものかげに、隠れる。

 新卒世代っぽい男子が、はだかのお姉さんの像に近付き、ぶつぶつと、つぶやきはじめたのだ。

 「お姉さん、僕、疲れちゃいました。会社には、友だちも少ないし」

 すると…。

 はだかのお姉さん像が、ぱくっと、真っ二つに割れた!

 割れた像の間から、出てきたのは…。

 「ウソだろう?」

 コナンジムで知り合った、マツコおばあちゃんだった。

 「おらあ!」

 高齢者が、新卒男子を、ボコボコ。

 え、え…?

 新卒が、マツコおばあちゃんに傷を負わせると、そっくりそのまま、はだかのお姉さん像の同じ場所にも、同じような傷がつけられていった。

 隠れた茂みの中から、街灯の光を頼りに見る、俺。

 「新卒は、弱いなあ」

 新卒、ボコられまくり。

 俺、離れた場所から、感激。

 「ぐええ…」

 男子が、はだかのお姉さん像の前に、崩れ去った。

 午前 3: 00ちょい。

 新卒を助けてやろうとは、思えなかった。

 「あ…」

 新卒の動きが、完全に、止まった。

 死んだのだ。

 俺は、すぐに、帰宅。

 午前 7: 00前。

 俺が見たできごとは、アパートの部屋でちょい寝してから会社にいくころには、町のうわさとなっていた。

 「聞いたか?」

 「チューリップ広場の事件か?」

 「謎の事件、だよな」

 「新卒が、また、死んだんだって?」

 「あの世代は、裏切り続きの人生だったからな。そりゃ、殺されるだろうよ」

 いくつもの、謎。

 いくつもの、真実。

 会社にいく途中の電車の中でも、俺と同年代っぽい人たち同士が、それぞれが描く真実を語り合っているのを聞いた。

 「聞いたか?」

 「ああ」

 「新卒が、また、死んだんだろ?」

 「らしいな」

 「ひひひ…」

 「笑うなよ」

 「お前だって…」

 「…だよな」

 「人材不足な日本、痛いなあ」

 「高齢者は、勝ち逃げだし」

 「きっと、はだかのお姉さん像が次にねらうターゲットは、バブル世代だろうな」

 そこには、俺も納得だ。

「 1週間前のできごとで、新卒を殺した犯人は、マツコおばあちゃんだと思います」

 俺は、その真実を言おうか迷っている。

 「真実は、いつも1つ!」

ちがう。

 それは、絶対に、ちがうと思う。

 「真実は、いつも1つ!」

 その言葉、あなたは、どう思いますか?

 






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(ちょこっと短い話)はだかのお姉さん像や、アカイ先生、アムロ先生。真実は、いつも1つと限らない! 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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