(ちょこっと短い話)はだかのお姉さん像や、アカイ先生、アムロ先生。真実は、いつも1つと限らない!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 はだかのお姉さん像がおこす、チューリップ広場の事件って?コナンジムで、アカイ先生やアムロ先生に、強くしてもらうしかないのか?

 チューリップ広場には、はだかのお姉さんの像が、建てられていた。

 きれいな像。

 「ミロのビーナス」像が、すっぽんぽんになった感じか?

 チューリップ広場は、チューリップの形をした、大人よりも背の高い噴水があったことで、名付けられた。メルヘンチックな、ネーミングだ。

 が…。

 最近は、メルヘンには感じられなくなっていた。

 はだかのお姉さん像のまわりで、次々と、社会人の死体が発見される事件が起きていたからだ。

 「社会人、か…」

 社会に出て働きはじめて20年目の俺も、そのうわさを知っていた。

 俺は、派遣社員だ。

 正社員では、採用されず。

 良くないタイミングで、社会に出てしまった。

 「日本は、いつ生まれたのかで、人生が、ほぼほぼ決まる国」

 どうだ?

 反論、できそう?

 「努力のできた俺たちは、シューショクできなかった。なのに、世界に 1つだけの花っていう過保護教育で育った世代は、楽々ルート。パパ、ママ、じいじとばあばが大好きなら、楽しく、シューショク。しかも、既卒後も 3年は新卒扱い。俺たち、貧乏くじを引かされた世代には、意味わからない」

 で…。

 チューリップ広場での、事件についてだ。

 町の人々は、困っていた。

 「深夜から早朝に、だれかが見張っていれば、良いじゃないか」

 「ひまな人に、やってもらうか」

 「ひまな人って、誰?」

 「仕事をやめた、高齢者?」

 が、結局、話がまとまらなかった。

 「じいじやばあばが、かわいそうだよ!やめて!」

 孫世代が、余計なことを言いはじめてしまうから。

 はだかのお姉さん像は、いつだって、きれいだった。

 ただ、最近は、様子が変だ。

 像の傷が、多くなっていたから。切り傷、アザやらが、何カ所も、つけられていた。

 死体で発見されるのは、相変わらず、同じ世代の人たち。

 「また、像の前で、新卒世代の死体が、発見されたんだって?」

 「らしいな」

 「いいね」

 「俺ら、勝ち逃げバブル!」

 「バブル、バブル!」

 「イエーイ!」

 「バブルの、勝ち!シューショクヒョーガキ世代、みじめ!」

 喜ぶやつも、いるんだろうな。

 勝ち組になれなかった俺は、がまんならなかった。

 「そうだ」

 思い出した。

 駅前の、はだかのお姉さん像から徒歩10分くらいの場所に、ボクシングだかジークンドーだかを教える、「コナンジム」っていうのがあったじゃないか。

 きたえてもらおう。

 こちらだって、いつ何があるか、わからないものな。

 「ジム」といっても、「ガンダム」とは、関係がない。

 …。

 「入会させて、ください!」

 すぐに、ジムの門をたたいていた。

 「入会ですか?」

 「緊張しないで」

 アムロ先生もアカイ先生も、親切だった。

 ジムには、いろいろな人が通っていた。

 「おや。若い人も、くるんだねえ」

 マツコさんというおばあちゃんに、あいさつをされた。

 「新卒男子とかって、体力が、私たち高齢者レベルでしょう?ストレス解消にね、ボコボコにする、良いターゲットですよ…。ひひひ」

 高齢者が強いのか、新卒が弱すぎるのか?

 その真実って、何?

 まあ、良いか。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る