第13回 アンカーマンとデータマン、どっちがいいのか問題~ライターだからってライティングが好きとは限らない~

毎日更新中のパパラッチ小説で、アンカーマンとデータマンの違いを説明しています。

(このページです↓)

https://kakuyomu.jp/works/16817330667813140300/episodes/16817330667814085637


ここでもザックリと役割を説明します。

資料を取り寄せたり、取材をして有識者の話の内容をまとめるなど、記事に必要なデータを集める人が「データマン」。

そのデータをもとに記事を執筆するのが「アンカーマン」です。


この業界では、「データマン」は軽くみられる傾向があります。

2つ理由があると考えています。


1つは、駆け出しのライターがデータマンになることが多く、ベテランになるとアンカーも任される、という流れがあること。

もう1つは、基本的にはアンカーのほうがギャラがいいこと。


私はどちらもやりますが、主にデータマンですし、データマンの仕事が好きです。


ある日、同年代のライター仲間がこんなことを言っていました。

「データマンの頃、早くアンカーをしたくて腐ってたの。記事を書かなきゃライターとは言えないでしょ」


データマンの私は「そうなのか!」と思い、編集者に「アンカーもやりたいです!」とプッシュして、アンカーをしました。


――つらいばかりでした!


記事を書くというのは、「集まっている情報を組み立てて、既定の文字数におさめる仕事」です。

そこには創意工夫も個性も必要ありません。

同じ「書く」といっても小説とはまったく別の作業なのです。


もちろん、記事の上手い下手はありますし、個性的なリズムや文体のベテランライターもいます。

上手い人の記事は、ウットリするほど完成度が高い。


けれども基本は、手元にある情報をまとめて、凝縮して、わかりやすく読者に伝える記事を書くのがアンカーの仕事です。

自分の書いた記事が全国誌に載るのですから、やりがいはあります。


それでも、私はつらかった。

なぜかといえば、おもしろく感じなかったからです。


有識者さんに取材したり、いろんな場所に行って空気や匂いや音を感じて、時には撮影もして、それをデータとしてまとめる。

時間がかかるし、大変なこともあります。


時給換算したくない仕事もあります。

どれだけ時間をかけて詳細なデータを作ったとしても、記事に自分の名前がクレジットされることもありません。

完全な裏方です。


でも、そっちの方が刺激があるし、専門家や著名人に私が納得できるまで直接疑問をぶつけられる。

たとえギャラが安くても、時間がかかっても、裏方でも、データマンの仕事は私にとってはとても楽しいのです。


ここまで、わかりやすくアンカーマンとデータマンに分けましたが、多くの場合は、自分が取材したものを記事にするまでがワンセットです。


本来、企画立案、リサーチ、アポ入れ、取材、コンテ、写真やイラストやモデルの発注、アンカー、識者への原稿確認、校了まで、全部ひとりでやります。

私もそういう仕事もしています。


ただ、私は週刊誌の中でも急ぎの企画を任されることが多く、「データマン」の仕事がメインなだけです。

ありがたいことだと思っています。


ある60代のベテランのアンカーマンに、

「私はアンカーよりデータマンのほうが好きなんです。おかしいですか?」

と尋ねたら、

「私もできるなら取材に行きたいわ」

と言っていました。


ベテランすぎて、現場に出させてもらえないようです。

(移動する時間があったら書け! という編集部の意向でしょう。素晴らしい文章を書くライターさんですから)


そうですよね。やっぱり現場っていいですよね!


時々「君が書くんじゃないんだ」と軽んじられることがあります。

けれど。

これからもデータマンだと胸を張ろうと思います。



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第2回 ライターって儲かるの? よくある質問1

https://kakuyomu.jp/works/16817330657064134914/episodes/16817330657078174260

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