マッチングアプリを誤タップしたら人気声優のマネージャーになったんだが?

YoSHI

第1話 マッチングアプリなんか

「だから俺はそーゆーの嫌いなんだって!」

「そんなんだからいつまで経っても鶴ちゃんに彼女なんか出来ないんだぞ!意固地になってないでインストールしろって!」

スマホをなんとしてもこいつから遠ざけなければならない。こんなサクラばっかりで課金しなきゃ話すら出来ないマッチングアプリなんかをインストールしたところで意味などない。

俺、轍鶴丸は大学2年生。生まれて20年間彼女なんかいたことない。中学生でアニメにハマり、せっかく出来かけた女友達も俺の趣味がアニメだと知った途端に苦笑いを浮かべて冷ややかな目を向けてきやがった。俺はそれを感じる度にアニメに逃げた。

「あっ、鶴ちゃんの好きな声優の土師元羅楽(はしもとらら)の写真落ちたぞ。」

一瞬地面を見たのがいけなかった。こいつのフェイクだった。こいつは俺の手からスマホをもぎ取りインストールのボタンを押しやがった。

「おいっ!七邊!ふざけんな!」

七邊新(ななべしん)は俺の数少ない大学での友人だが、こいつは俺とは違って女を誑かしているような奴だ。悔しいがビジュやコミュ力は圧倒的にこいつの方が上。

「まぁまぁ、いいじゃんかよ。意外とマッチングアプリ使ってる女の子って多いんだぞ?ちょっと金叩いて出逢い作る方が出逢える確率上がるって。いつまでも自然な出会いを求めてちゃダメだぞ〜。」

くそったれが。そういうのはビジュがいいから成立するのであって、決してビジュがいいとは言えない俺は出逢えない。だがしかし、スマホ画面には『初回登録後、24時間無料でいいね&トークが出来ます!』とでかでかと書かれている。

(帰ったら少しやってみるか。)

本人登録やら個人情報を入力したが、俺はまだ疑っている。本当にこんなのに女の子が登録しているのか、登録していたとしても俺みたいにモテない奴が登録しているんじゃないかと。


本人確認が完了しました!それでは良い出逢いをお祈りしております!


(あーぁ、始まっちゃったよ。取り敢えず良さげな女の子探すか…。)

しかし、画面に一番最初に表示されたのはお世辞にも可愛いとは言えない、クリーチャーのような風貌の子。

(32歳、くらら…こんな人まで登録されてるのか…だめだ。この子は流石にパス。)

俺はスマホを右にスワイプした。次の子を探そうとしたその瞬間…


マッチングが成立しました!


「はっ!?なんで!?パスしたじゃん!」

画面は既にトーク画面に切り替わっている。どうやら俺はパスではなくいいね!を押してしまったようだ。

「ちょっと…冗談じゃないよ…。」


初めまして!くららって言います!私みたいな人をいいねしてくれてありがとうございます!


(どうやって関係を切ろうか…。間違えたって言ったら相手は傷つくだろうな…。しっかし12歳上なんて無理だって…。)

画面にはQRコードが表示された。


私のみんスタのコードです!よかったら登録してください!


俺は頭を抱えた。流れるままに登録してしまい一回りも上の人に誤いいねを押して別のSNSも交換してしまった。こんなん誰にも言えない。

(フォロワー0じゃねぇかよ…。どーしよ…)

DMはすぐに来た。しかし、そこには到底信じられないようなことが書かれていた。


フォローありがとうございます。声優の土師元羅楽です。早速ですが、今週末に今から送る場所に来てください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マッチングアプリを誤タップしたら人気声優のマネージャーになったんだが? YoSHI @Take-Naka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る