プリモ・ピアット:クスクスとの出会い

 クスクスといってもモフモフと表現されそうな有袋類の話ではない。

 周囲の人々が私の言動を見て漏らす声を表現するときに用いるオノマトペでもない。

 ここで話題にしたいのは食べ物のクスクスである。

 しかし、食べ物のクスクスと言っても、これが指すものは地域によって結構異なる。

 たとえば同じ大陸であってもサハラ砂漠以北か以南かで原材料が小麦になるか、雑穀、とうもろこしになるか変わってくる。

 原材料が違うと当然ながら出来上がりもまた異なってくる(なお、雑穀、もろこし系については品揃えの良いスーパーのイタリア食材コーナーでポレンタなるものを買ってねるねるねるねするとほぼ同じものができあがる)。

 ちなみに、どうでも良いことを書き連ねて字数を稼ぐという手段は卒業論文で学んだものである。他の字数稼ぎとしては引用の多用というのがある。引用で一番おいしいのは万葉集であるというのがかつての不真面目学生バカたちの出した結論である。万葉仮名で引用して、漢字かな交じりで引用して、古注を引用する。一粒で三度美味しい。

 

 さて、大分字数を稼いだところで、今回、取り上げるクスクスはマグリブ系のクスクス、デュラム小麦のセモリナが原材料のあれである。

 あれとの出会いは子供時代のことであった。

 若草物語に出てくる果物の砂糖漬けに思いをはせるような時代のことであったから、当然、クスクスと出会ったのも本の中である。


 今となっては作者もタイトルも思い出せない本。

 親の勤務の都合で北アフリカのどこかに住んでいる日本人少年が誘拐される。

 少年は現地の少年に助けてもらい、彼のガイドでサハラ砂漠を越えて逃走する。

 過酷な状況でのサバイバルと逃走の途中立ち寄ったいちで現地の少年が頼んだ料理。

 野菜や肉を煮込んだものをどさっと皿の上に盛られた主食の上にかける。

 空腹であった二人は指や舌が火傷するのもかまわず、これをかきこむ。

 ものすごく食欲をそそられた。自分も手づかみで市で不思議な食事をかきこむことにものすごく憧れた。


 後年思い返してみると、この不思議な食事、クスクスとタジンなのだろうが、思い出せない。視点となる人物が日本人少年であったこともあり、料理名は書かれていなかった気もする。

 

 あんな食事、こんな食事、今は大抵のものが手に入ってしまう。

 いつでも手に入ると思っていれば、案外食指が動かないのではないだろうか。

 そうならば、少し寂しいかもしれない。


 なお、今回もまたパクリインスパイアであるので、パクリ元参考文献を明記しておく。


パクリ元参考文献

『倉沢の読書帳。』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426989514413


「17 知らない国の食べ物。」

https://kakuyomu.jp/works/16816700426989514413/episodes/16817330656117760286

「18 知らない国の食べ物。おまけ。」

https://kakuyomu.jp/works/16816700426989514413/episodes/16817330656178436485

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