【3-31】 高笑い
【第3章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16818023211874721575
【地図】ヴァナヘイム国 (第1部16章修正)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330656021434407
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エルドフリームは、これまでの城塞とは違った。
コアとなる城郭はもちろん、第1から第4まである堡塁も、膨大な年月をかけて丘陵をくり抜いたものであった。
その岩盤は厚く堅く、小口径の騎砲から繰り出される砲弾程度では、土砂を巻き上げるだけで、致命的な打撃を与えることができなかった。
いたるところで土煙が舞うなか、城塞からの反撃は弱まることなく続いている。
砲弾が岩盤に弾かれている様子は、後方のブレギア軍総司令部からも、
おまけにこの炎天である。砲身を冷やすのにも手間取り、射撃頻度は恐ろしく
「このままでは、弾薬を消費し、砲身を摩耗するばかりです」
国主補佐官・ハーヴァの報告に、筆頭補佐官・トゥレムは舌打ちし、遠距離からの砲撃を中止させるべきか
だが、ここにきて、城塞側の砲撃もやや息切れが見られた。敵味方の砲弾交換の隙間を狙うようにして、間髪入れずブルカンは麾下の騎翔隊に突入を命じる。
振り下ろされた彼の白い袖に合わせて、騎兵が疾駆していく。
少ないながらも、味方による援護射撃が騎翔隊を追い抜いては着弾し、城塞の視界を封じる。宿将・バンブライの下す砲撃指揮のタイミングは、絶妙であった。
しかしニール河の急流によって、騎翔隊は城塞の
【地図】ヴァナヘイム・ブレギア国境 第2部
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330668554055249
足元――奔流に馬脚を取られている間に、頭上――城内からの機関砲によって、騎兵たちは次々と倒されていく。
望遠鏡の先に広がる視界では、腕や足をもがれた将兵が勢いよく落馬し、川面に水しぶきを上げる。
「……ッ」
跳ね飛ばされた頭部から絶望に歪んだ視線が、ブルカンの
足をもがれて落水した兵による苦痛と恐怖が、レンズ越しにも伝播する。しかし、草原の勇将は、
「こいつは愉快だ。せいぜいこのような
ウテカ=ホーンスキン以下 御親類衆は、後方に配置させられたことを幸いにして、高みの見物を決め込んでいた。
言葉どおり、彼らの陣営は高台にあるうえに、天幕に伐採した木々の枝葉がかけられており、夏陽の対応は万全であった。
さらに、そこには果実酒から珍味までが揃い、ホーンスキン一族は
金髪の若造や老人どもの旗色の悪い攻城戦は、何にも勝る
眼下では、彼等の兵馬があたら失われていく一方、我等は無傷のまま――保有兵力の
御親類衆の笑いが止まらぬのは、アルコールのせいだけではないだろう。
「ち、父上……」
「ん?ケルか。なんだ」
背後に控えていた子息・ケルトハが、意を決したように父・ウテカの前へ進み出た。
「このままでは、御味方の被害は看過できぬものとなりましょう。我らも敵を側面から衝き、敵の射撃を引きつけてはいか……」
「くだらぬことを考えずともよいッ」
息子の提案は、父の酒臭さただよう怒声によって掻き消された。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
やはり、ボルハンだけでは、エルドフリーム城塞攻略の荷は重たかったか、と思われた方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
ボルハンたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「総攻撃」お楽しみに。
撤退命令が下るのではないかと、副官たちが見つめるなか、レオン=カーヴァルは立ち上がり幕舎の外に進む。
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