間話 第三王女①
シェバンデリア王国の第三王女。
アウレリア・ド・シェバンデリア、それが私の名前。王女といっても第三王女。上には兄が四人と姉が六 二人。下はいない。私は末っ子。
でも王族とは名ばかりのようなモノね。兄や姉はもう成人して国の為に各々が身を粉にして働いているのに、私にはまだそのような仕事を振られてもらえない。デビュタント前なのだから当然か。だからこそ自由に動ける今の内に見聞を広めて来なさいという父王の言により、公益都市へと赴いていたのよ。
世間には知られていない私の秘密がある。それは魔眼と呼ばれる異能を持っているの。人々にはごく稀に魔術とは異なる力を持った者が生まれる。それは異様な怪力であったり、全身が鉄のように硬く出来たりと千差万別。そう言った人達は冒険者になったり騎士として出世の道を突き進んでたりするようね。
魔眼にも種類があって、おとぎ話にもあるような有名なモノだと未来が見える魔眼や相手と視線を交えただけで洗脳する魅了の魔眼、真偽は解らないけど鑑定の魔眼なんてのも有るとか無いとか。私に発言したのは魔眼の中でもあまり役に立たなさそうなもの。能力は相手の魔力量が見える測定の魔眼。これがあれば見た人がどれだけの腕前を持った人かが分かるから曲者探しにはたまに役立ってたりしてるわ。
今回、公益都市に出向いたのは遊びに来たって訳じゃない。まぁそれも入ってはいるけれど…。父王、お父様からのいつもの密命。国の力になってもらえそうな強力な魔術師を見つけ、可能ならスカウトしてきて欲しいというの。
魔術師、その中でも戦闘が出来るほどの人は基本的にどこの国でも人材不足。大半の強力な魔術師は冒険者になって自分の好きに生きている人ばっかり。そんな在野の魔術師を探してきて欲しいってお願いされたから王都から公益都市まで来たって訳ね。あ、格好は王女スタイルじゃないわよ?商人の娘くらいには抑えてるわよ?じゃなきゃ街を散策できないじゃない。
でも結局、今回の人材探しも空振り。滞在期間も過ぎたから王都に帰っている途中。街道を馬車での移動の休憩中にこっそり散歩に出掛けたの。危なくないかって言われたら危ないに決まってる。けど、測定の魔眼も使いようね。魔物は小さくても大きくても視界に入りさえすれば魔力がわかるから危なくなったらすぐに戻ればいいし、いざって時は結界術式を組み込んだ指輪の魔術具も持たせて貰ってるわ。あとは近衛に危険を知らせるための魔術具もね。
久しぶりに一人で歩く。草原の風が気持ち良くて歩いていたら、あら。馬車からかなり離れてしまったようね。そう思って引き返そうした際、指輪に魔力を感じる。まさか!その時にはすでに結界は張られていて、そこに何かがぶつかってきたのが分かった。きゃっ!襲撃!?周りには何も…!!空を見上げれば上空に遠くからでも大きく見える姿が。しまった、大型の鳥の魔物…確認を怠ったわ。
水晶の遺産:幸せの探求者 水無月 @blacklily4558
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。水晶の遺産:幸せの探求者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます