第10話 都と朝市へ!!
「うっわ!!寒っ!!!」
外に出ると、一面の銀世界だった。初めてこの地に辿り着いた時の苦い記憶を思い出して、思わず顔が歪む。
「今は冬だからね。もう少ししたら、春が来て暖かくなるんだけど」
「へーこの世界にも春ってあるんだ」
「うん、あるよ。この国も春夏秋冬あるよ。ユウの国のあるのかい?」
「うん、俺の国にはあったよ。こんなに寒いのは初めてだけど…。」
「そうなのか…。ユウ大丈夫かい?寒くはないかい?」
「ふっふっ、アレンは心配性だな。大丈夫だよ、ロレインがこんなに暖かいコートを用意してくれたんだから。ロレインって口は悪いけど、根っこは良い奴だよな」
ロレインは俺とアレンが街に出かけると知ると、自分が持っている防寒の服を貸してくれた。”アレン様と出掛けるなんて身の程しらず”など色々と言ってきたが、俺の身長ではアレンの服は合わないからと言って、わざわざ貸してくれたのである。ツンデレな良い奴である。アニメキャラだったら、確実に人気がでそうだ。
「そうだな、あいつは良い奴だからな。…それにしても貸してもらった服、よく似合っているよ。モコモコのフードが可愛い」
俺が着ているコートはモコモコした生地のものでフードもついており、それもモコモコしている。
「俺には可愛すぎるよ!ってか、アレンの猫耳の方が可愛いよ。寒いからか、ヘニョってなってるよ、ふふ」
アレンの猫耳はパタンと閉じられている。
「寒いと、少しでも冷気を取り込まない為にこうなるんだ。モフモフ猫族は寒いのは苦手だからね」
流石は猫である。そういえば猫がストーブの前から一日中動かずにずーっと居て、飼い主に怒られる動画を見た事があった。
「でも、もう大丈夫だよ。この道を抜けると都が広がっていて、そちらは比較的暖かいから」
「お〜〜!!ついに都か!!美味い食べ物あるかな!?」
ワクワクする。一体どんな風景が広がっているのだろうか。
「ふふっ、そう言えば朝食がまだだったね。日用品をそろえる前に、先に朝食を食べようか。都には美味しい食べ物や珍しい食材が沢山あるから、なんでも食べると良いよ」
「やった〜〜!!俺、めっちゃお腹減ってたんだよね!暖かいものが食べたいな〜!あ、お金は給料が入ったらアレンにちゃんと返すからな!!」
「良いって言ってるのに…」
「ちゃんとしたいんだよ!あ!アレン!建物が見えたぞ!!あれが都か!?」
なんて鮮やかな建物達なのだろう。色とりどりの変わった形のオシャレな建造物が、連なっている。丸い建物なんかまでもある。どうやって建てたのだろうか…。不思議だ。
どことなく、フランスを思い出させるような感じだ。
人間も老若男女、沢山いる。皆、猫耳と尻尾はついているが。
「そうだよ。にゃんにゃん王国で一番大きな都、サバランだ。丁度今日は日曜日だから、朝市が開かれているよ」
「うわっ、本当だ!もう良い匂いがする。」
肉が焼ける匂いや、海鮮の良い匂い、どこからともなく食欲がそそる香りが立ち込める。
ぐ〜〜〜〜〜
「!!やば、お腹鳴っちゃったよ//」
あまりに良い匂いなので、お腹がなってしまった。早く食べたいので、匂いをたどり屋台が開かれてるであろう市場へと足速に向かう。
「うん、可愛いね」
「!!〜〜〜っ、可愛くないだろ!!生理現象だろ!!」
「ははは、好きな人なら何でも可愛いよ」
「ーっ、だからそういう歯の浮くような事はー「いらっしゃいお兄ちゃん!!ひとつ味見していかないかい!?」
「!!」
いつの間にか市場に到着したようだった。
すごい活気と熱気だ。食べ物の屋台もあれば、何だか可愛い雑貨まである。色とりどりの建物に負けないぐらい、屋台も人々もカラフルだった。まるで、お祭りだ。
「…ユウ、味見は良いのかい?」
「!ごめん、ぼーっとしてた!味見ください!!」
「はいよ!!」
俺の目の前に差し出されたのは、爪楊枝に刺された肉であった。良い匂いがする。
ハフハフハフ、パクリ
「!!〜〜〜〜〜うっま!!何だこれ、うっま〜〜〜!!美味いよ!!アレン!!」
「ふふっ、そうだね。美味しいね」
口の中に入れた瞬間に、ジュワーーと美味い肉汁が広がる。これは牛肉だろうか。柔らかくて、味付けも濃くて俺好みだ。美味しい。冷えていた体が、一気に温まるのを感じる。
「お兄ちゃん、美味そうに食うね〜!!見ていて、気持ちが良いよ!!気に入った!!今この牛串買ってくれたら、特別にテールスープもつけるけど、どうだい!?」
「買う!!買います!!あ!アレン、買ってよいよな…?」
「もちろん良いよ」
「まいどありー!!」
俺達は熱々の牛串とテールスープを持って、屋台にあるテーブルについた。
料理人の俺が異世界転生して、モフモフ猫族のにゃんにゃん国王様に溺愛される話 ねねこ @neneko869780970980-9-87-
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