ローダ・扉の青年『想いと思い』より 天使と少年の暫しの別れ
登場人物と背景
14歳の少女リイナ。彼女は父と共に大好きな故郷を出て、ローダ達を探す旅に出る決意を幼馴染のロイドに明かす。
気が強く、天才司祭と言われ皆に慕われる強い存在なのだが、実はロイドと離れることは寂しいのだが、上手く伝えられずにいた。
同じく14歳の少年ロイド。好意を寄せ始めていたリイナがいなくなることに愕然とする。ロイドはどちらかと言えば気が弱い少年であり、リイナの笑顔にいつも救われていた。
リイナの父ジェリド(台本には参加しない)は、この話を告げる為にロイドを夕飯に誘った訳だが二人が寂しい思いを抱く事は想像していた。
せめて今夜は家に泊まっていく様に告げる。
好意を寄せるリイナと同じ部屋に泊まるというのに、絶望でガッカリしているところから話は始まる。
リイナ
ロイド
ナレーション
でお願いいたします
◇__ここから声劇
ロイド:「おじさんだけじゃなくて、リイナも一緒に……」
(寂しそうにベッドに横になりながら呟く)
ロイド:「明日、急にお別れだなんて、そんなのないだろ…」
ナレーション:(リイナの家事の片付けが終わる前に、元々リイナの母親が使っていたベッドで待つロイド。そこへ階段を上がってくる音が聞こえ、ロイドは慌てて寝たフリをした)
ナレーション:(リイナは幼馴染に毛布をかけると、しばらく彼の様子を伺ってから、ランプの灯りを消す)
ナレーション:(彼女も自分のベッドで眠るのであろうと思っていたロイド少年は、まさかの不意を突かれる)
ナレーション:(なんとリイナは、彼の毛布に潜り込み、ロイドと同じ向きで横になると、腹の辺りから腕を通して、抱きしめて来たのだ)
ロイド:「お、お、おぃ、何してんだ」
(慌てた声を出して身をよじり抵抗する)
リイナ:「やっぱり、起きてたっ」
(少し悪戯じみた感じで)
ナレーション:(リイナは抱き締める手にさらに力を入れた。そして脇に手を伸ばすと、これでもかって位にくすぐった。)
ロイド:「ちょ、ちょっとっ、バカ、やめろ、やめてくれぇっ」
ナレーション:(陸に上がった魚の様にのたうつロイド。吹き出さないように下唇をギュッと噛む。しかし我慢出来ず引き笑いになり、腹筋が痛くなる)
リイナ:「うわぁ、なんか気持ち悪いぞ……」
(完全に引いた感じで)
ロイド:「だ、だって、それは、お、お前が…」
(困り果て感じで)
ナレーション:(ここでリイナに再び抱きしめられてしまう。ロイドは言葉を失う)
リイナ:「…馬鹿」
(文句あり気だが小声で一言)
ロイド:「え?」
(リイナの声が聞き取れなかった)
リイナ:「こんのバッカ野郎っ!」
(今度は構う事なく耳元で怒鳴った)
リイナ:「私が、私が寂しく無いとでも思ってるの! 怖くないとでも思っているの!」
(さらに大声でたたみかける。途中から涙交じりで)
ナレーション:(ロイドは自分の背中が濡れているのを感じた。背中の幼馴染は強か《したたか》に泣いていた)
ロイド:「り、リイナ……」
リイナ:「全く、自分だけやられたみたいにガッカリして、男なら……」
(泣きながら訴える。少し次の言葉に間を置く)
ナレーション:(ロイドは自分の愚かさを理解した。彼の顔もこみ上げるもので歪んだ)
リイナ:「お、男なら……き…気の利いた事の一つや二つ、やってみなさいよっ…」
(そこまで言うと、彼女は嗚咽して、もう言葉にならなくなった)
ナレーション:(ロイドは自分は泣くまいとしばらく黙って、心と言葉の整理をした)
ロイド:「ごめんっ」
(勇気を振り絞る)
リイナ:「……」
(無言、実は途中から寝落ちしつつある)
ロイド:「ごめんよ。俺…リイナの強い所に頼ってばかりでさ、だってお前って、強いし、優しいからさ。ずっと甘えてた、本当にごめん!」
(勇気を振り絞って謝る)
ナレーション:(これはロイドの本心であった。相手は司祭で町で天使と呼ばれている強い人。比べて自分には何も誇れるものが無い。自分が、彼女の力になれる気が全くしなかったのである)
リイナ:「……」
ロイド:「リイナ!?」
ナレーション:(背中から寝息が聞こえてくる。天使は言いたい事を言い尽くすと、すっかり寝てしまったのである)
ロイド:「ハァ………全く。でも、うんっ……分かった。お前とジェリドおじさんのいないこの街。俺の力だけじゃ不安だらけだけど……それでも精一杯、帰ってくるまでこの場所を守ってみせるさ」
ナレーション:(リイナを起こさない様に、そおっと身体を向きを変えると、彼女の頭を優しく撫でながら小声だけど、信念をもって告げる)
ロイド:「………大好きだよ、リイナ。次会う時は必ず伝えるからな」
ナレーション:(しばらくの間、天使の寝顔を見つめてから、自分も目をつぶるのであった)
スプーン・台本用(実験w) 🗡🐺狼駄 @Wolf_kk
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