ローダ・扉の青年『青い薔薇』より 舞踏会での恋人未満の男女
登場人物
24歳の騎士見習いであるローダ。普段は気弱でいつもルシアに振り回されている。
26歳の武闘家兼精霊使いのルシア。気が強く、ローダを玩具にしている。
二人は互いを意識しつつもまだ前に進めずにいた。今日は宴。着飾った貴族達が互いに気になる相手を誘い、ダンスを始める。
ルシアはこの様な経験は初めて。一方ローダは騎士見習いの癖に養子だった家柄が良かったのでかなり慣れていた。
ルシアは初めての青いドレス(胸に青い薔薇をあしらっている)とエスコートしてくれたローダに心驚させていたが、美しいダンスを披露する連中を見て、憧れつつも自分には絶対無理と諦めていた。
ルシア(心の声):(ダンスかあ……私もあんな風に踊れたらどんなに楽しいだろう)
(ガッカリした感じで)
そこへローダが颯爽と現れて、彼女の前に跪いて手の甲にキスをする。
ローダ:「そこの麗しき
(とても気取った感じで)
ルシア:「え……ええっ!? む、無理無理無理無理ーっ! わ、私踊ったことなんてないからっ!」
(とても慌てた様子で)
ローダ:「問題ない」
(ここはあえて事務的に)
そう言ってローダはルシアを抱えると半ば強引に、踊り場に繰り出した。
ルシア(心の声):(えっ!? えっ!? う、嘘でしょ!? 待ってぇぇ!)
ローダは手慣れた手つきでルシアの腰に手を回し、左手を取る。二人の距離が限りなくゼロになる。ルシアは訳が分からず顔が真っ赤になってしまう。
高鳴る心臓の鼓動。
ローダ:「………大丈夫、俺に任せて。まずは肩の力を抜いていこうか」
(相変わらず気取った声だが耳元でささやく感じで)
ローダはゆっくりと派手な動きは抑え目に、重心移動だけでルシアをリードする。
ローダ:「そう、それで良いんだ。流石に飲み込みが早いな」
ルシア:「そ、そう?」
ローダ:「良し、もう少し派手に動いてみようか……行くぞ」
(ここら辺、基本的に二人はくっついているので声量小さめが良きかと)
ローダが少しづつ重心移動の速度を早めてゆく。ルシアは重心が自分に向かって来ると感じたら後ろへ。引かれたと感じたら前へ。とにかくローダの動きに逆らわない。
やがて二人の動きはシンクロして華麗なターンを決めてゆく。
ルシア(心の声):(私は今、素敵なドレスを着て大好きな人と堂々と踊っている。なんて心地良いのかしら)
(少しウットリしている感じで)
やがて曲が終わり、二人は歓声と拍手に包まれながら頭を下げる。
しかしここで終わらない。ローダはここで急にルシアの手を強く握りしめ、観客から見えない所へ消えてゆく。
ルシア:「ハァハァ……も、もう、急に走り出すんだから……」
(息を切らしつつ、でも顔は怒っていない)
ローダ:「す、すまない。最後に強引なリードをしてしまったな」
(互いに息が落ち着くまで少し間を置く)
ローダ:「ど、どうだ? 少しはダンスを楽しめたか?」
(ここでいつものちょっと頼りない感じのローダに戻る)
ルシア:「そ、そうね……さ、最初はどうなることかと思ったけど。でも……」
(ルシア、この後で大きく息を吸う)
(ローダはドキドキしながら彼女の返答を待っている)
ルシア:「さっいこうに楽しかったよっ! きっと今までの人生で一番っ!」
(大声をローダの耳元にぶつける)
ローダ:「………っ!?」
(ローダ、ビクつく)
ルシア:「ふぅ……今夜は貴方に驚かされってぱなしだったから、ようやく仕返しが出来たわ」
(ようやく自分のマウントが取れたルシア。とても楽し気に笑い出す)
ローダ:「そ、そうか……なら良かった」
(ホッとする)
ルシア:「全く、たいしたものね騎士殿。これも貴族の御婦人を相手に覚えたのかしら?」
(マウント気味で)
ローダ:「ま、まあな。こ、これも貴族の
(たじろぎつつ)
ルシア:「んっ?」
(ここでローダも大きく息を吸う)
ローダ:「俺にとっても人生でさいっこうに楽しかったっ!」
(反撃とばかりに大声)
そして彼はルシアに向かって両腕を広げた。リードに逆らわず胸に跳び込むルシア。
互いが互いを抱き締め合う。鼓動と体温が交差する。
(もうここからは互いにドキドキしつつ声量抑え目)
ローダ:「る、ルシア………」
ルシア:「んっ………」
(少し間を置く)
ローダ:「お、俺、お前のこと……好きだ。これは初めてのリードだ。嘘じゃない」
ルシア:「あっ………」
(ルシア、少しうつむき加減で(間を置く)しかし決心してローダの方を向く)
(また暫く間を置く。この間互いの鼓動がさらに高鳴るのを止められない)
ルシア:「ぐう……ぜん……ね。わ、私も今、同じ事を思っていたの」
(とても小声で照れくさそうに)
互いにさらに抱き締め合う二人。緊張の糸がほぐれて1本の新しい糸が生まれた瞬間。
青い薔薇の花言葉は”不可能を可能にする”、”夢は叶う”。まさに二人の夢が叶った瞬間であった。
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