第29話 村を強化しよう1
~~(新たな地へ2の最後のシーンの続き)
クマクマ&メルの蹂躙。
いや、活躍により草原地帯のオークの集落は滅びた。
十メートルほどの山々。
すべて巨大なオークの死体。
その数五十体くらいかな?
あきらかに王様とか将軍と名前のついてそうなやつもいるけど。
う~ん、これを二人だけでねぇ。
メルさんや、あなた数日前まで瀕死でしたよね。
みゃーとかニャッって感じのお約束の語尾はどうしました?
普通に喋ってますよね。
無視はやめて、スルーしないで。
現実ってこんなもんですね、わかります。
戦闘経験も僕と同じく素人でしたよね。
それがなんで……
進化ってすごい。
村に向かう途中、集落を見かけたとはいえ……
オークも運がないなぁ。
何もしてないのに襲撃を受けるなんて。
「オークは女性の敵です、不倶戴天の敵です」
「さすが兄弟子、強いです。すごくかっこよかったです」
「キュー!キュッ」
そういうことなら仕方ないかな。
だけど僕はクマクマの師匠ではない。
血まみれの二人は川で血を落とし着替えに向かう。
クマクマの着替えは?
--なんて、ツッコミはしない。
ミコトちゃんは見学だけなのでオークの処理中。
う~~ん、確かバイブルでは、僕のケースはこうなるはずだったんだけど。
異世界転生→無能は追放→運命の出会い→NEXT
ここまでは順調なんだけど、この後から予定が狂ってしまった。
運命の出会いから冒険に旅立つ間の色々はスキップします。
→予定では、冒険の開始時ピンチ~~~からの隠された能力スキルが覚醒!!→チートスキルで無双!!
~~のはずが、実際はこうです。
→現実、もふもふGETだぜ!!→進化&無双!!
最後を見ると完璧なんですけどね、これは僕じゃなくてクマクマ……
ちょっと異世界ものバイブルのお約束展開を期待してたのは秘密です。
はぁ、何の能力持たず、攻撃できない最弱ボーイはもうモブで充分です。
あれっ、考えたらモブ以下?
……気にしないことにします。
皆に手伝ってもらい、オークの死体は収納か処理して保存食の干し肉へと変わる。
そう冒険者の旅のお供です!!
旅の必需品ともいえる。
H O S I N I K U なのですよ!!
物語によって味、食感は様々。
ある時は。
臭いだけのただ肉を乾燥させた物。
またある時は。
味はそこそこではあるが噛み切れないほど硬い物。
そしてまたある時は。
極上の味、適度な歯ごたえ、まるで有名国産干し肉にも匹敵する物など。
この世界ではまぁ……最悪でした。
味は塩でしょっぱいだけ。
食感は目茶目茶硬い、本気で歯が折れるかと思った。
獣人なら問題なく噛み切れる?
まだまだ硬くてもイケルですか。
歯が丈夫なのですね。
社畜風味自宅警備員にジョブチェンジしたであろう僕には……
無理、今現在、食を楽しめるようになった僕には無理!!
最高の干し肉を作ると決めた。
食は大事、いやおいしい味は大事で絶対必要です。
例えば、一錠で一日に必要な栄養を補えるカプセル錠剤と、三食食べないと一日の栄養は補えないがおいしい食事があるとしたら。
どちらを選ぶかは~~聞くまでも無いでしょう、そう言う事です。
なので、まずは地球の日本知識。
料理チートで世界を取る!!
僕は料理王になる。
…………かも。
そんなこんなで日は進み。
あれ以降は何事も無く順調に進み、ようやく村へたどり着くことができた。
森を抜けるとミコトちゃんの眷属竜、その巨大な姿が見えた。
道の真ん中、村の入り口の前かな。
ボロイながらも木の柵のようなものがあるから、おそらくはそうなのだろうね。
その周囲には村人らしき姿も見える。
簡易的な結界で覆われた村。
森を切り開いた場所に、木を組み合わせた柵に囲まれている。
規模としては……え~と、家が所々にポツポツと立っているのでわかりにくい。
日本ならひとつの田舎の地区程度かな、どの県のとは言わないけど。
その面積のほとんんどは畑。
あの空からの写真の一軒家って感じなのかな。
目を向けると、村の向こうにはそこそこの川も見える。
井戸も見られる……手押しポンプ?
転生者が伝えたのかな?
道は当然未舗装、土のままだね。
家はログハウスみたいのや、余った木材を組み合わせたようなものまで色々。
正直言えばボロいです、隙間だらけで新しい傷のような後も見えるが。
これは襲撃の後だろうか?
どちらにせよ、温室育ちの人なら冬は凍死待ったなしでしょう。
文化的には中世からほとんど発達してないように見える。
東京育ちの人が、ドが三はつきそうな田舎を見たようなもの?
魔物は結界で守れるだろうが、今この時に盗賊などが襲撃してきたら全滅するんじゃないか。
村人達の服装も布を縫い合わせただけの質素って感じがほとんど。
確かトーガってやつだったかな。
中には皮鎧みたいなのを身に着けてる人もいるが。
「これで村人全員?」
「いいえケイ様違います、こやつらはこの村の狩人連中です、つい先ほど戻ったばかりで」
当然と言えば当然か、たった十五人程度ではこの広い村なんて維持できない。
紹介された十五人ほどの男女。
皆猫系獣人らしくスマートな体型、理想の体つき。
そんな彼らは、確かに弓矢やヤリなど色々な武器を持っている。
武器を見ると何故か、少しテンションあがる気がする。
あと様つけはやめてほしい。
様をつけるのは貴方の主人のミコトちゃんにお願いします。
村の中心に村人を集めてもらった。
では、僕は後ろに下がりますね。
ミコトちゃんあとはよろしく。
無言で教育的指導を受けた。
僕みたいな人畜無害な自宅警備員候補になにを期待してるのかな。
はぁ、あまり目立つのは。
僕はモブで陰からでいいのに。
見た目も極々普通の一般人だし。
「「どこがじゃ、ヌシは目立ちまくりじゃ(です)」」
ばっ……馬鹿な、過去の記憶と教育で得た知識ではごく一般人の外見のはず。
身長は低く百三十センチ程度。
うん、小学生ほどだね。
身体は細身でスマート……いや貧弱ボーイかな。
髪色は白? いや銀に近い。
おじいちゃんなのかな?
いや、記憶が確かなら。
この髪色は、最初は滅茶苦茶強いが、話が進むと急激に弱体化するアノ……
最強クラスの能力を持つ中ボス……小ボス?
例をあげれば屋無茶の立ち位置。
まさに主人公の引き立て役ポジション!!のはず。
肌色はアウトドアなど無縁なインドアタイプの真っ白。
美白美人ってやつだね。
~~総合判断……!!
「やっぱり普通だよね?」
「「(そ)んなわけある(ります)かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー」」
ミコトちゃんとメルの声が村に響き渡った。
悲しいかな認識の違いってヤツだね。
認めたくないものだな、若さゆえの……おっとまた無意識に名言を。
ふむ……!! なるほど主人公(仮)の立場ですね、わかります。
要は真の主人公登場までの繋ぎですね。
今はプロローグってやつ。
わかりました、頑張りましょう。
人数は……全員で二百人くらい?
助けた人達の姿も見えます、見た感じ年寄りばかり。
獣人は見た目と年齢が一致しないが、五十歳ほどが半分くらい。
あとは二十~三十くらいの若い女性と小さな子供。
男が少ない気が。
「それは…………」
天使に転生(転生した無能力善人、冤罪で追放・・・気が付いたら破壊神になっていました) ゆうむ @yumu883
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