第28話 閑話 とある創造神

 我は創造神、創造神である。



 とはいえ、我なんて言えるほど偉くはない。


 ワシで十分。


 なんなら私でも……





 まぁ、創造神と言っても数多く存在するうちの一神にすぎない。


 力もピンキリで、ワシなど間違いなく最底辺。


 自力で世界を創り上げたわけではなく。


 先代が『もう飽きたからお前に譲る、適当にやっておいて』って、 そういい残し、見目麗しい女神と新天地に去ってしまった。


 マジで、えっ?? て感じじゃッた。


 管理権限ってそんなに簡単に譲って良いものじゃ……


 


 ワシ見学にきただけの見習いなんじゃが。


 ねぇ、責任って言葉知ってます?

 

 どこぞの神のように飽きたからってすべて破壊し、何もなかったことにするよりはマシだけど。



 自慢ではないがそこそこ器用なので、世界を創ろうと思えば出来ると思う。


 だがワシはまだまだ生まれたてのひよっこ同然の神。




 はぁ~~。


 ため息も吐きたくなる。


 ワシは先代が女神遊びに明け暮れ、長期放置したせいでラグナロク寸前だった世界を必死に修正した。



 頑張った。


 とても頑張った。


 寝る間も惜しみ。


 食事も禄に取れず。



 瞬間チャージのあれや、エナジードリンクで気力を回復させる日々。



 

 なんとかなった。


 地上に住む住人が自力で生きていけるまで回復させた。


 人間、いや創造神やって出来ないことはないね。


 限界って、そこで終わりではなく突破できるものなんだ。


 これで時より修正していけば問題はないはず。


 見守ることにしよう。




 あっ、また戦争を…… 


 ほっ、自力で持ち直した。


 またこっちで戦争が……


 度々戦なんて起こさないで。

 

 滅びないよう調整が大変なの、めんどくさいんじゃぁーーーー。


 いい加減切れるぞ!!


  


 もうこっちのは、もう放っておくぞ!!




 ん?


 小さな島国が急激に力を。


 おぉ、領地が増えていく。



 すごい勢いだ。


 ……少し天狗になってないか?



 あぁ、特効は辞めなさい。


 風なんておこさない。


 ただの自然現象だろうが、少しは考えて。



 あぁーーやっぱり負けた。


 はぁ~~


 これはしばらく様子見かな。




 ん?


 おぉ!!


 一気に発展したなぁ。


 すごいすごい。




 あっ、泡がハジケた。


 …………




 その後も、その小さな島国を見守り続けることにした。




 ずいぶんとキラキラした土地に発展したなぁ。


 ほう冥途とは物騒な。


 いやメイドか?



 それはちょっと露出が露骨ではないか?


 四十八人って多すぎない?



 文化とな、ふむそういうものか。


 美味そうな食べ物だ。



 ハートとはあざといが、それもありじゃ!!


 待つのじゃ、何故名前をかえる?


 テレビのままで良いではないか!!




 ……


 おぉ、こっちもまた涎が……


 くっ、何年待たせる気じゃ!!



 おや、これは?


 聖人かな?


 何だ~~ただの一般人かぁ、しかし貢献度すごいなぁ。



「「「「「…………」」」」」




 ん?


 なにやら視線が……



 --!!


 びっくりした!


 思わず、も……叫ぶところだった。


 ワシの周囲には無数の神々の姿があった。


 何々、ワシ何かしたか?


 リンチ、リンチなのか?


 金か? いやワシが持つポイントが目的なのか?


 くっ、しかし消滅させられるよりは……





 えっ、人や物を壊すような干渉はしないから遊ばせてくれ?


 はぁ、人間の姿で変なことは絶対しない。


 自力で稼いで手に入れる?


 神力は絶対使わない。



 だから頼むと。



 アナタ創造神でも頂点に近いお方でしょう。


 涙流しならが言わないで。


 あと、その涎ふいて。


 最高の創造神としての威厳はどうしたんですか。


「威厳なんて何の意味も無いんじゃ」



 やめて、土下座はやめて。


 違います、切腹も必要ないです。


 そんなことで死なないでしょうに。



 はいはい、わかりましたよ、過度な干渉しないなら好きにしてください。


 わかってます、皆さんもどうぞ。



 ワシのこの世界。

 

 他の創造神達より時間の進みがかなり遅い。


 単純に百分の一くらいかの。


 しばらくはのんびり見守るとするかのう。






 ----って目茶目茶やばいのがきた。


 これはあかんやつだ。



 普通の創造神程度なら、相手にすらならない危険なやつだ。


 百トンの火薬満載の密室で、天井に届く位の盛大なキャンプフャイヤーしながら花火するほうがマシなくらいヤバイのだ。



 死んだ。


 ワシ死んだよ。



 くっーーでも、いや、せめてワシのこの命だけで。


 この首ひとつで手打ちに!!


 頼む、この子等には慈悲を。



 少し、いや頭のおかしなのも多いがそれでも。


 ただ必死に生きてるだけなんだ。




 あぁ、ヤバイ。


 駄目だ、地上でバカンス中の神たちと鉢合わせしたら……


 睨み合いの余波だけで世界が滅びる。


 なんとか……くっ!!


 




 ----えっ、喧嘩しないから遊ばせてくれ?


 マジですか?


 むかついて破壊しない?


「壊したら遊べんじゃないか」 


 まぁ、それなら。




 えっ、あの最上位の創造神とはマブダチ、以前殴り合って引き分け?


 紹介されたからずーと見てた。



 あっ、どーぞ、どーぞ是非楽しんでいってください。


 あぁ、よろしければ電気街の近所に住居を用意しますから。


 ワンフロア、いえ大豪邸でよろしいでしょうか。


 ちくわなどの入った缶詰もご用意できますが。



「それはありがたい、いや四畳半で頼む。よし、そうだないずれ借りは返すとしよう。なんならヤッてほしいやつおれば滅してやるぞ」



 ……!!


 イエイエ、ソンナノイマセンヨ。


 エエ、マッタクイマセンヨ。


 先代のことクソヤロウマジぶっころなんて思ってませんよ。



「何故カタコト? まぁよいそれじゃあ行ってくる」



 助かった。


 その後もちょくちょく姿を見かけるようになった。

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