第2話

 

 中学校2年の春、体育祭の前日に僕は全校生徒の前で派手に倒れてしまい、担任が救急車を呼ぶようなことがあった。あいにくその日は貴重な総練習の最初で最後の日だったのだが、校長や教頭の指示でこれ以上体調不良者を出さないために、と、中断。練習不十分のせいか、いや、本当に関係があるのかは分からないが、その年の体育祭はグダグダで見てる方が恥ずかしくなるほどだったと風の噂で聞いた。


 僕のせいに違いない。そう思って疑わなかったのは僕自身だけでなく、クラスメイトや同学年の人たちもそうだ。幸いいじめられはしなかったものの、その独特の空気感にまいってしまい、2週間あまり学校を休んだりもした。名門大学を出たという叔父さんは、「体育祭?そんなの、みんな終わった時点で忘れてるよ。」と、軽い口調で慰めてくれた。


 「進学校しか経験したことのない人には公立の学校の雰囲気は分からないでしょう。環境が悪いんです。」とは、七三分けの偉そうな秀才には到底言えそうもなかった。

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赤い 花田 月 @momococo252

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