父親ガチャハズレ

かいとも

父親ガチャハズレ

「いい天気だな」

「そうね~」

「空気が美味しいな」

「そうね~」

「日向ぼっこは気持ちいいな」

「そうね~」

「パパとママ、まだ日向ぼっこしてるの?」


<カルン·サリン

 ザルンド国で最強の男

 マリンの夫

 ミミンの父>


<カルン·マリン

 サリンの妻

 ミミンの母>


<カルン·ミミン

 サリンとマリンの娘

 ザイの彼女>


「気持ちいいからな」

「そうね~」

「そうね~で返さないで!」

「そうね~」

「そうね~しか言わなくなったの!?ママ?」

「そうね~。

そんなわけ無いじゃない」

「お義父さんお義母さんこんにちは」

「ザイ君こんにちは」

「ザイ君こんにちは」


<ザルンド·ザイ

 ザルンド国の王子

 チランとマアルの息子>


「デートは終わったのか?」

「楽しかったよ!」

「それは良かったね」

「俺らもデートするか?」

「あら、私達もう歳よ?」

「ママ別にいいんじゃない?

仲が良い夫婦みたいじゃない?」

「じゃあやる?サリン」

「いつやる?マリン」

「俺らもこんな夫婦になりたいな」

「そうだね。

ザイ」


<幸せの日常が壊れる鐘の音がした>


 鐘の音…いったいなにが起きたんだ?


「ザイ君は王宮に戻ろうか」

「パパ…この鐘って」

「緊急事態の時に鳴る鐘の音だ。

ザルンド様に話しを聴きたいから、王宮に向かう。

何が起きたか分からないいじょう、お前達にもついてきて貰う」


<王宮に移動した>


「父様母様」

「ザイ無事だったか!」

「良かったわ」


<ザルンド·チラン

 マアルの夫

 ザイの父

 ザルンド国の王>


<ザルンド·マアル

 チランの妻

 ザイの妻

 ザルンド国の王妃>


「そうか…

サリンの所にいたか」

「王。

何が起きたんですか?」

「それはワシから言おう」

「ザルンド様」

「魔物がこの国に攻めていると情報が入った」

「…数はどれぐらいですか?」

「1000体。

それに…その中にはキングとクイーンの姿がある」


<キング クイーン

 例。

 ゴブリンキング、ゴブリンクイーンみたいな感じで、魔物のキングとクイーンが産まれる時がある。

 キングとクイーンが産まれたら、配下も大量に産まれる。

 国と同じで騎士や魔術師もいる>


「何の魔物ですか?」

「ゴブリン。

オーク。

狼。

スライムだ」

「そうですか…」


 迷っている暇は無いな。

 1人の命が消えて、国を守れるなら安いもんだ。


「ザルンド様。

結果とワープ使ってくれますか?」

「まさか…」

「そのまさかですよ」

「パパ?何するつもりなの?」

「王…いや…

最後は名前で呼ばして貰うよチラン。

家族の事は任せたよ」

「親友の頼みだ…本当は嫌だよ…お前に死んでほしくない」

「え?パパ…どういう事?」

「マアル。

マリンの事は頼むよ!って言いたいが2人は親友だからな。

言わなくて良かったな」

「本当よ!…生きてほしかった」

「ねえ!パパ!」

「ザイ君ミミンの事を任せる」

「分かりました…」

「パパ?…なんで無視するの!」

「マリンすまんな。

デートの約束をしていたのに」

「本当です…行ってほしくない…私はあなたとずっといたい」

「俺も一緒だ。

だけど誰か1人はしないと行けないんだ」

「ミミン。

無視してすまなかったな。

俺はいつまでも近くで見守っている。

大好きだよ」

「なんなのよ!どういう事?死ぬって!

私はずっと家族といたいの!家族と暮らしたいの!死なないでよ!」

「力ある者は、弱き者を、国を、国民を、守らなければいけない。

俺にはそれの力があり、英雄の称号も貰っている」

「そんな…父親ガチャハズレだよ!

なんで…なんで死のうとするの!

パパは1000体の魔物なんて楽勝じゃない!」

「昨日の戦いで、魔力がまだ復活していないんだ。

魔力暴走して自爆しなければいけない」


<ミミンを抱きしめサリンは言った>


「ごめんな…父親ガチャハズレで」


<ミミンはサリンに抱きしめられた時に、上から水が垂れてきていると分かった。

 それがサリンの涙だと分かった。

 父親ガチャハズレとは思っていない。

 だがミミンは家族が好きだから。

 死んでほしくない。

 なんとか止めようと「父親ガチャハズレ」と言った。

 サリンはそれも分かっている。

 ミミンの父親だから。

 でも、誰かがしないといけない。

 力ある者が>


「ザルンド様頼みます」

「分かった…ワープ」


「スッゴい量だな」

「すまないな…」

「ザルンド様が謝る事じゃありません。

それに1日だけ、死んだ者と生きた者を会わせてくれるじゃないですか」

「ありがとうサリン」

「感謝しないでください…泣きます…」

「すまないな…バイバイ英雄サリン」

「バイバイザルンド様」


「魔力暴走!自爆!」


<自爆の音は王宮にまで届いた。

 王宮にいた者は泣いた。

 それは神も同じ。

 1国の為に死んだ英雄。

 父親ガチャハズレ。

 国を守ったと分かっているが…>

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