脇役たちの群像劇

●感想
現在(2023/5/17)の時点では、勇者や魔法使い、僧侶など、活躍するべき主人公たちが失われたファンタジー世界の物語であり、絶望的な状況の中、足掻き続ける脇役たちのお話でした。

群像劇風に構成されており、たいした力もない脇役たちが、それぞれが意思を持ち、一つの目標に向かって動き出す展開は面白みがありました。

浮遊城の墜落という、大きな謎が最初に提示されていたのも興味がひかれグッドでした。


●気になった点(自主企画のため記載)
下記はあくまで私個人の感想ですので、基本は聞き流す程度でお願いします。
指摘箇所を修正する必要はありません。書き続ければ自然と直っていくとも思いますので、現在の傾向として頭に置く程度にしていただければと思います。

・具体性
全体を通して説明で進んでおり、世界観、浮遊城の様子、浮遊城から城までの様子、城下町、破壊前後の城の外観、キャラクターそれぞれの外見など、描写が非常に薄く、場面として想像することが困難でした。

・1話
『難攻不落の空中要塞が~』
 →この場面は興味をひくために、あえて浮遊城や魔王と表記せずに、シーンの描写を行っているかと思います。
 ただ、前提として、空中要塞という単語がファンタジーに限らず使用される点。
 空中要塞という単語のみで、その後の文章も含めて外観が描写されておらず、結局メインの構造物が思い浮かばず、シーンとしての機能があまりなされていない点。
 ほか、そもそも浮遊城という表記が空中要塞とそれほど変わらない点などもあります。
変更例:
『 ――浮遊城が落ちた。闇に覆われた禍々しい城を載せる、全長2kmに及ぶ巨大な岩石の塊、人類の天敵、無数の勇者が挑み、そして敗北を喫した魔王の城。その浮遊城が、炎と共に地へ堕ちた』
上記は、これが良いというわけではなく、具体性を示した例です。

『城は城の主が封印されるか、滅びでもしない限り、この世から消えることはない。』
→『城』だと人間側の城も含まれるので、『この城』もしくは『浮遊城』と明記。

『落下地点のそばにいた何人かの人間が』
→位置関係が漠然としており『そば』で見ていたら死ぬのではという印象もありました。
その後に続く例として、『落下地点から『離れた』『丘から』『数人の兵士』は、『燃えゆく浮遊城の様』を、しばし呆然と眺めていた。』などが考えられます。

『この国の王は既に国の外に逃げ、王女は囚われ、王国の兵団がもはや統率を失っていることは国中にとうに知れ渡っていた。この国は既に亡国となりつつあるのだ。』
→国名さえ表記されず、またどういった国なのかも描かれず、城下町や城の描写もないため、全体として想像がしづらく感じました。国名だけでも設定したほうが良いように感じました。

『しかし、「どこかの勇者が魔王の討伐に成功したのでは?」~以下数文』
→これは具体性とは少し異なりますが、その後の話で浮遊城が落ちた段階で王国は壊滅状態と説明されます。このあたりの『活動は未だ収まらず』『兵士が魔物に挑んだが』などの描写と、その後の展開が矛盾していると感じました。

・2話
『穴だらけの城壁を見た時はドニも派手にやられたな。と思っていたが、偶然話しかけた王都の兵士に教えてもらい、王城が綺麗に無くなっていることに気がついた。』
→この前後で顕著ですが、人物それぞれの外見や、斥候から戻ってきて王都を見た仲間たち、馬の疲弊した様子など、疲労と絶望の描写が丸々抜けており、被害についても具体性がなく、感情移入も場面の想像も非常にしづらくなっていると感じました。

・その他
守る必要はありませんが、一応記載させていただきます。
『「ネズミは...もう、逃げた』
...は一般的には『…』を偶数個重ねて使用します。
例:ネズミは……もう

『王城に報告しなくて良いのか?なんてわざわざ訊かなきゃ良かった。』
「!」や「?」の後は一字空けするのが一般的です。
例「良いのか? なんて」

あくまで個人の感想ですので、すべて受け止める必要はありません。

全体としてはひねりのあるファンタジー群像劇と感じました。
水球さん含めて今後が楽しみな作品ですので、活躍を期待いたします。