マイテリトリー
@yyysssaaa
第1話
学校。専門学校。今日が卒業。
父が建築関係の自営業をしていた。
だからなんとなく建築の専門学校をでた。
それまで勉強なんてしたことがなかった。
だから、勉強が少し楽しかった。一瞬建築が楽しいと思った時期もあったが、就活をする際志望動機が何一つ出てこない。建築は別になんの興味もなかったのかとその時初めて気付いた。
あるいは、母が生きていて、褒めてくれてさえすれば変わっていたのかもしれない。
いや、変わってないか。
ケイト「今日もジムに行くの?」
「、、、。当然だ。ジムに行かない日の方が少ない。今日はジムに行かないの?と、聞くべきだ」
ケイト「あ、うるせぇ」
「うるさいとか言うな」
ケイト。死んだ母と1番仲がよかった。小型犬。チワワとトイプードルのミックス犬。悪く言えば雑種。
ケイト「その呼び方やめて」
「・・・」
雑種というと怒る、メス。母が死んだ日。ケイトがなんでも喋れる家族的なポジションだった。僕にとって。だが、そんなケイトも死んだ。父は仕事でそれどころではないようだった。あまりお金もなかった。だから、死骸をバイクのメットインにいれて、
母のお墓まで走らせた。そして、自分で穴を掘り、埋めた。弟にも報告したが、あまり思う所もないようだった。それ以降僕の心にはケイトがいる。本当にケイトかどうかと言われれば分からない。
ケイト「卒業おめでとう」
「ありがとう」
「みんなでご飯とか行かないの?」
「・・・、友達なんてほとんどいないし。今まで勉強なんてしたことなかった。急に、勉強したもんだから、ストレスからまともに喋れなくなったし」
ケイト「・・・、何で、そんなことに」
「俺もう勉強しないし」
ケイト「まぁ。向いてないしね。筋肉のほうがいいよ」
「ねぇ君って、同じクラスだよね」
「えっ?」
帰り道。御堂筋線。18時。
人がゴミのように混んでいる。
「おー、ひさびさ」
「えっ。ひさびさ!相変わらず筋肉凄いな」
「まぁ、鍛えてるからな」
「私のこと覚えてる。彩乃!」
「勿論、そっちこそ覚えてるの?」
彩乃「三重君」
しばらく電車の中で時間が止まった?そんな気がした。
「え、う、嬉し」
彩乃「何照れてんだよ」
「いや照れてると言うか、そんな名前だけハッキリ言われても困る」
彩乃「照れてんじゃん」
「ちょっと俺次で降りるから」
彩乃「あー。残念最後に教えて。腰ってどうやって鍛えるの?」
「あー、腰?腰って言っても。まぁ、デットリフトとかオススメ」
「デットリフト?死ぬじゃん!」
「いや、名前だけで判断するな」
「今度教えてよ」
「あ、いいよ。ジムとか行ってるの?」
「いつ空いてるの?」
「あー、いつでも。やべ、駅着いたから降りるわ」
「ダメ!」
「いや、ダメってなんだよ」
「番号教えて」
番号を教えた。すぐ電車を降りた。彩乃はもう少し先の駅らしかった。
ケイト「いい感じだな!」
「怖くね。めっちゃ距離詰められた」
ケイト「素直になれ。嬉しいくせに」
「・・・」
ケイト「でーどうすんの。最寄駅もっと先でしょ?」
「・・・しょうがないだろ。恥ずかしかったんだ」
ケイト「・・・」
「と、とりあえずだ。ジムに行く」
とは言っても服がない。サプリもない。
一度家に帰るしかほかない。
ケイト「彩乃ちゃんと一緒に帰ればよかったのに!」
「恥ずかしかったんだ。何度も言わせるなよ」
ケイト「不器用!」
「・・・」
うるさかった。ケイトは犬だった。イメージとしては喋る人っぽい犬。隣にいる感じ。勿論心の中だけだ。他の人からは見えない。にしても、その割に、うるさかった。その後も彩乃ちゃんと一緒に帰らなかったことに悪態をついていた。聞き流した。
そして待たなくて良かった電車を再びまった。
マイテリトリー @yyysssaaa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マイテリトリーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます