第5話 お昼は白城さんと一緒!?

 さて、ドキドキ(二重の意味)しながら学校に何とかついた俺と明日香さん。

 明日香さんは流石に腕は組んでいないが、気分良さげに鼻唄を口ずさんでいる。

 一方で俺は既に疲労困憊。


 ほんと……ギャルの体力って無限なんですか?(そんな訳ない)

 陽キャってメンタル強すぎ。(それな)


「……既に帰りたくなっている俺がいる」

「ダメだぞー? 私達が勉強教えてあげるんだから帰るなんて許さないよっ☆」


 そう言って全く疲れの見えない眩い笑顔を浮かべる明日香さんには尊敬の念しかありません。(敬礼!)

 俺も陽キャだったらなぁ! 今頃ギャルの彼女の1人や2人はいるんだろうけどなぁ!

 如何せん顔がなぁ……(よく分かっているじゃないか)。


 心の中で地団駄を踏んでいると、見覚えのある先生と目が合った。


 そう———我らが担任で俺に試練を与えた安藤康太あんどうこうた先生である。


 因みに安藤先生は今年で30だが、既に妻も子供もおり、俺と顔見知りである。

 勿論俺が先生のお子さんが困っているのを助けたからだが。


 そんな安藤先生が俺を見た途端「帰るなよ? 帰るなんて言わないよな? ん?」みたいなことを目で伝えてくる。

 それも目をガン開きで。


 いや怖えよ。

 

「どうしたの優真?」

「あ、いや、何でもない。そ、それじゃあ行こっか!!」


 俺は不思議そうに顔を覗き込んだ明日香さんを連れて学校に入り、ホラーな先生に笑顔で頭を下げておいた。

 これで何か言われることはないだろう。(そんな訳ない)

 

「ふぅ……ここまで来れば流石に大丈夫だろ」

「———ねぇ……」

「ん? あっ、ごめん。安藤先生が怖すぎ……て……?」


 俺は明日香さんに何も言わず背中を押してここまで来た事を謝ろうとしたのだが———



「ゆ、優真って……意外と大胆、なんだね……?」

「…………………Oh my god」



 ———そこには少し恥ずかしそうに頬を染めた明日香の姿が。

 そしてそんな彼女の姿を見て、自分が今何をしているのか気づく。


 ———学校でも有名な美少女ギャルの背中のみならず、二の腕にをも、学校の中で堂々と触っている、と言うことに。


「……」


 人間、焦りすぎるとかえって冷静になるというが、今の俺が正にそうだ。

 いつも以上に冷静で頭が冴えている気がする。

 

 さて、取り敢えず俺は何をすれば良いだろうか?

 一先ず隠キャな俺が陽キャみたいなボディータッチしてごめんない?

 いや、それ以前に勝手に触れてごめんなさいかな……あ、それに土下座もセットにしないと。(妥当)


 俺は即座に背中から手を離すと、頭を打ち付けるほどに土下座をかます。


「すぅぅぅぅ……勝手に女性の身体に触れてしまい申し訳ありませんでしたッッ!!」

「ちょっ!? そんな謝らなくてもいいよ!? 私は大して気にしてないし! 寧ろ嬉し———と、兎に角、私は大丈夫だから頭上げて!!」


 明日香さんが少しテンパってコロコロと表情を変えながらも慈悲深い事にこんな俺を許してくれた。


 か、神や……目の前にギャルの女神がおる……隠キャに優しいギャルとか全オタクの憧れじゃないか……!!


 俺がリアルの隠キャに優しいギャルの明日香さんに感動していると、丁度4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

「あ……なっちゃったねぇ〜残念。取り敢えず私はこれでおさらばするねっ☆」

「あ、ちょっと待———って足早っ」


 俺はあっという間に、授業が終わったせいで沢山教室から出てきた生徒に紛れた明日香さんを見失う。

 

 え、いや、俺ぼっち……?

 学校来たのに即ぼっち?

 まぁ昨日までと全く変わらないんだけどさ……めちゃくちゃ寂しいんだが!?


「お、俺を1人にしないで欲しいんですけど……き、気まず過ぎる……」


 普段は授業中を狙って学校来てるのに……普段の倍以上の視線が……と、俺が突如浴びる生徒達の視線に怯えていると———


「———優馬君、やっと来てくれたんですね」

「し、白城さんっ!?」


 突如俺の名前が呼ばれて振り向くと、俺の期間限定の先生(予定)の白城さんが安堵したような笑みを浮かべていた。


「いつも来る10時くらいに来なかったので今日は休みかと思っていたのですが……」

「い、いや、勿論今日から2人に教えて貰うのに行かないっていう選択肢はないですよ!」

「ふふっ、それは良かったです」


 お淑やかに口元を押さえて優雅に笑う白城さんは、明日香さんとは違うベクトルで大変美しかった。


「あっ、そうですっ。優真君、お昼ご飯はありませんよね?」

「え、ま、まぁ無いですけど……」


 どうして俺が持っていないと知っているのだろうか?

 まぁ大方安藤先生が言ったのだろうが、少し俺のプライバシーがなさ過ぎでは?

 え、遅刻する俺にプライバシーなどないって? その通りですねはい。


 そんなくだらないことを考えていたその時、これまでの考えを吹き飛ばす一言を白城さんが笑顔で放った。


「それは丁度良かったです。実は……私が優真君のお弁当を作ってきたんです。屋上で一緒に食べませんか?」

「あっ———」


 俺は清楚な女神の言葉に浄化された。

 

 

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