ディテクティブ・ボトル
はむはむ
第1話 空想空間劇
弓野 人々(リリ)がバスを降り立つと
清々しいほどの田んぼたちが彼を迎えてくれた。
照りつける太陽。
喉かな光景に、リリは少し後悔した。
何も無いかも。
かも、で合ってほしかった。
周囲を見渡しても片手で数えてお釣りが来るほどの民家しかない。
あ、でもバス停数えたら片手は収まるか。
軽くため息をつきながら、親父から貰った茶封筒の中身を確認する。
現金5万円。あと、祖母の住所の記載と雑な手書きの地図の紙切れ2枚。
ここへ来る途中に見た時は地図の雑さに戦慄を覚えたが、現場につくと嫌に正確だったその地図に別の戦慄を覚えた。
バス停から見て、南の少し高台にある家がゴールらしい。
「行くか」
スマホは山二つ超えたときからとっくに圏外だ。ペットボトルの水も尽きてから3時間は経ってる。
リリはバックパックを抱え直し、親父の友人とやらの家にこれから住み込みで奉公しに行くべく、ゴールへと足を進めた。
ディテクティブ・ボトル はむはむ @hamham00
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