第27話 ハルト、現代に帰還する
1年後、世界は相変わらず平和だった。
俺こと、須王ハルトは高校2年生になっていた。
魔界からこっちに戻った時、真っ先に連絡をくれたのは神代ヒナと三条シオリだった。
元々彼女たちと面識のなかった俺だったが、魔王がこちらにいる時にいろいろとやっていたらしい。
俺は全てを打ち明けた。
彼女たちはショックを受けていたが、一度魔族が世界に現れたこともあり意外にすんなり受け止めたようだ。
「じゃあ、ハルトくんは、別のハルトくんなんだね」
神代ヒナが複雑そうに言う。
「まあ、元々の俺というか、そんな感じかな」
「あーしは別に気にしないけどねー」
三条シオリはあっけらかんとしていた。
俺はもちろんヒナと付き合えるなんて夢みたいなことは思ってなかった。だってそれは魔王さんが築いた関係だから……。
でも、代わりに、なぜか三条シオリと付き合うことになった。まあ、代わりにと言っては失礼だけどね。
「ヒナは魔王のモノ。あんたが手出したらダメだかんね! でも、あーしはあんたのもの♡」
このようにシオリにはクギを刺されているが、終わりよければ全てよしだろう。
妹のフウカにも全てを打ち明けた。彼女はことあるごとに魔王さんに会いたいと言っておりなにやら複雑な気分だ。
「ハルにぃ、なんか成長したね。前よりも頼りがいのある兄貴になった」
しかし、あの時の体験は忘れることはない。魔界に比べれば人間界は本当に平和で退屈だ。
そんなある日、退屈は終わりを告げる。
「今日は転校生を紹介する」
入ってきた彼の顔を見て、俺はピンときた。
こいつまさか……。
「見知った顔もいるな。1年ぶりの人間界だ。今日からよろしく頼む」
こりゃ、しばらく退屈しなくて済みそうだ。
終わり
異世界の魔王、現代の陰キャに転移する。〜カーストトップのS級天使様を助けたらやたら付きまとわれて困っている〜 猫宮うたい @nekomiya_utai
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