第5話

「七瀬桃子、9歳……」黒神は桃子の書類を読んでいた。


「9歳!?」「あぁ…」桃子はあまりご飯を食べさせてもらっていなかったからか、他の同年代の子と比べたら身長も体重も、低いし軽い。


とても9歳には見えない。


「……もうすぐか」



ノック音が聞こえ、黒神の合図で部下が入ってきた。


「怪我の手当は完了しました」

「分かった。下がっていいぞ」


頭を下げた部下は素早く部屋から出る。

 

「新しい家族見つける?」白洲が黒神に聞く。


「……ああ、でもまだ色々片付けがある。だからしばらくうちで面倒みる。白洲と赤宮であいつに勉強を教えてやれ。学校にも行っていなかったんだ勉強くらい出来とかねぇと」

「りょーかい(ここまでするなんてめえずらし)」「了解っす」


「青葉はマナーとかを教えてやれ。あの様子だと色々心配だしな」

「了解です」


「あと、俺たちが極道ってのはバレないようにしろよ。怖がるだろうし。まあ、もうバレてるだろうが、一応な」

「そうだね」「うっす」「(バレないように)がんばります!」


そう、黒神達はその筋の人間なら誰もが知っている極道、黒神組。その総長が黒神蓮。若くして総長になったのでよく思ってない人がたくさんいる。

そして、No.2の白洲零。


この組の幹部はみんな若い。

20代と言うこともあり敵は多いのだが、その強さは計り知れない。


同じ組の下っぱ達はみんな黒神を怖がって、出来ることなら近づきたくないと思っている。たまにはむかってくる奴もいるがその場合は……敢えて言わないでおこう。


幹部の人間は黒神を尊敬している。

 

黒神は桃子が一人でも生きていけるように、外に出しても大丈夫なように、と色々教えてくれるようになった。

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地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。 兎亀 らる @ukiraru

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