22話 覚悟。
昔からすき?なんで昔からなのだろうか。
思い出せば前にも昔どこかで会っていないか。みたいなことを聞かれた事があった。
その時は一言も返せなかった。
そして父さんとの電話以降はそのことを深く考えることをやめていた。
父さんとの電話。
自身の記憶かのような夢。
夢愛の発言。
小学生の時のない記憶。
どこかで聞き覚えのある辰巳夢愛という名前。
これまで自分で不思議だと思っていたことがだんだんと点と点で繋がっている
ような気がしてきた。本当に俺らは昔に会っていたのか?
「夢愛。」
「俺も前から好きだったよ。でも告白の返事の前に過去のことが聞きたい。」
夢愛はゆっくりとうなずいてくてた。正直あまり良い予感はしないが、もう
ここで聞き逃したらきっと二度と聞くチャンスがないかと思った。
「場所を変えてもいいかな?蒼介の家に行きたい。」
「でも空太がいるかもしれないけどそれでもいいなら。」
「ううん、大丈夫だよ。とりあえず行こう。」
なにが大丈夫なのかは分からないが家に向かった。
向かっている時はとてもではないが何かを話せるような雰囲気ではなかった。
そういえば空太はどうなったのだろうか。連絡は何も来ていなかった。
一歩一歩歩く音がしっかりと聞こえてくる。街の中心街からは少し外れ
街灯の明かりのみの道に入った。もうすぐ家につくところだった。
「大好き。」
「え?」
話す雰囲気ではなかった夢愛が急に喋った。俺もこの帰り道だけは素直になった。
「俺も大好きだよ。」
前を歩いていた夢愛は振り返りまたハグをしにきた。
夢愛は泣いていた。
この時点で過去の話を聞くには相当な覚悟が必要だとわかった。
俺はまた優しく夢愛の背中に手を回し優しく抱きしめた。
本当に今にも消えてしまいそうなぐらいに、儚く。寂しく。感じた。
7年越しのバンドでの思い。 かしわもち @koudai1130
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