春牡丹 崩れるように 散り惑う
蒼河颯人
春牡丹 崩れるように 散り惑う
気がつけば 僕の心を 占めていた 留まり知らぬ 君への想い
あなたとの 過ごす時間が 楽しくて 指折り数え 眠られぬ夜
お互いに 全てを許し 許される そんな二人に なれたら良いね
ああ寒い あなたの熱で 温めて 雨の降る夜 帳が落ちる
愛しても 愛し足りない この想い 燃え上がるほど 不安が募る
雨降らば あなたの腕に 宿りつつ 静寂の中 震える心
いつまでも そばにいてと言う 君を抱き 微睡み知らぬ つかの間の夢
春牡丹 崩れるように 散り惑う 今を盛りと 咲いていたのに
すれ違い 何が二人を 引き裂いた 雷鳴止まぬ 土砂降りの音
雨の中 独りゆく君 止められず 傘を差しても 乾かぬ心
かすみゆく 景色が濡れる 梅雨の空 虚ろな瞳 止まらぬ涙
唇に 残りし熱と 感触は 過ぎ去りし日の 恋の思い出
ざあざあと 降り続く雨 止まぬ雨 ぽたりぽたりと 葉を揺らしつつ
傘の先 輝く涙珠 こぼれ落ち 蝸牛見上げる 鈍色の空
あの頃に 戻りたくても 戻れない 閉ざした心 開かぬ心
傘忘れ 見かけた店で 雨宿り 心に響く 冷やかな音
しとしとと 留まり知らぬ この雨で しとどに濡れる 紫陽花の花
「良かったら どうぞ」と声をかけられた 視線の先に 花咲く笑顔
ふたり傘 雨の向こうに 歩き出す 軽やかな音 弾む雨音
肩濡らす あたたかい雨 見上げれば 視界を覆う 七色の橋
春牡丹 崩れるように 散り惑う 蒼河颯人 @hayato_sm
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます