どこか怪奇で退廃的な場面から始まる、幻想的な物語です。一見すると暗く澱んだ世界観でありながらも、生命の本質的な強さを感じる唯一無二の美しさが描かれており、こちらの作者さまの持ち味である「人間を描くことの巧さ」が如何なく発揮されておりますね。作中で登場する台詞の掛け合いや言葉選びも秀逸で、重めの展開の中にも良い意味での不気味さと可笑しさ、そして柔らかさが効果的に演出されております。特に終盤の展開と、不思議なタイトルの意味が明らかになる場面は必見です。ぜひ皆様にもオススメしたい名作です。
この作品は一万文字に満たない短編ですが、物語に込められた想いは長編をも凌ぐと言っても過言ではありません。 幼少期から辛い人生を歩んできた『桜子』。 アナタも読んでいるうちに胸が締め付けられてゆくでしょう。 そして、特筆すべきは読了後に『読者それぞれに受け取り方が違う』であろう結末だという事。 この落とし所は、正直に賞賛したいと思いレビューを書きました。 作者様の願いの様な感情が『生きて』ではなく、『活きて』と表現しているところが素晴らしいと思います。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(416文字)