テレワークとしびん

 いきなり不穏な空気を漂わせてしまい大変申し訳ないが、テレワークにおける最重要課題である、


 「高頻度に発生しがちな小水の排泄」


 をいかにクリアするか、において「しびん」というジャストな解決策があることは、こんにちにおいてあまり知られていない、いや、知られてはいるんだけどあまり公にはなっていない、というか、公にできない。


 かつてネットゲーム界隈には「オンラインゲームに熱中するあまり、席を立てないため、排泄をペットボトルに行う」という「ボトラー」なる存在が跋扈していた[要出典]ことは記憶に新しい[要検証]が、一部のガチ勢においては、テレワークにあっても「これから会議なんだけどトイレに行く時間がない、どうしよう」といったケースがままあり、そこでほらしびんじゃろ、という感じになっている[独自研究]。


 新型コロナウィルスがワーッとなる7年ほど前からテレワークで生計を立てていたおれは、黎明期から2021年ごろのテレワーク隆盛に至るまで、主にウェブ検索で「テレワーク しびん」などとやり続けることで注意深くこの動静を見守ってきたが、あまりトレンドは変わっていないように思える。みな、思ったよりも「トイレにきちんと行けている」のだろう。


 「そりゃそうだろ、そんな人間としての最低限の尊厳をテレワークで捨ててたまるか」というのが大義ではあろうと思っているが、それでも7年以上やっていると、さすがに年1〜2度ぐらい「どうしようもないケース」があったりする。そんなときに何が必要かと言われれば、それがしびんなのだ。


 具体的には、別にテレワーク用のしびんがあったりするわけではないので、普通に介護などで使うものを融通するかたちになる。男性であればある程度分かるかと思うが、座っているのと立っているのでは排泄しやすさに違いがでてくるので、基本的には立ってするものをやっていくのがよいだろう。


 打ち合わせが続き、とりあえずあと3分後くらいでまた別な会議です、みたいなことになると、自室とトイレの距離が離れているのに、コーヒーなんぞ嗜んでしまっており、しびんのお世話になることも少なくない。


 とは言え、のどを潤すための飲料は必要不可欠だし、そもトイレ時間を3分しか考慮していないのはどうなんだ、という愚痴が出てこないでもない。賃貸物件などで、机の真後ろにトイレがあるような環境であれば、そのくらいで足りるのかもしれないが。


 コロナ禍においては飲み会ですら在宅でするようになっていたわけだし、場合によっては「カメラからフレームアウトできないんだけど排泄はしたい」といったケースは意外と多かったのではないだろうか。ただ「すみません、ちょっとトイレに」などとカメラ越しに断ってトイレに行くというのは、男性であればまぁそれなりにできるかもしれないが、女性は難しいのではないかと思う。


 だが、テレワークも長くなれば、ふいに席を立つ方法はいくらでも思いついてくる。「チャイム的なものは鳴っていないが、来客(宅急便やセールスあたりが無難)が来たと言って席をはずす」「電話が来たふりをし、席を立つ」「特に前触れ無くいきなりカメラをオフにする(意外と言及されない)」などだ。


 これらはいずれも「フレームアウトしているので、本当にその行為をしているのかどうか定かではない」ことになるが、まあ数分程度の離席であれば、そこまで言及もされないだろう。ただ、ミーティング内容を聞きつづけたほうがよいケースは多いので、ブルートゥースヘッドホンなど、無線機器を使うのがよい。その場合、注意しながらマイクをオフにしないと、意図しない排泄音をステークホルダーに限定公開することになったりしてしまうので、そこだけは注意されたい。


 というわけで、会議はなるべく減らし、テキストベースでのやりとりを増やしたいけど、それができない場合もまだまだあるので、じゃあもうしびんじゃん、というお話になるのであった(ならないのが望ましい)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

清貧 @IS1lfFpG4lCXkbn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る