(ちょこっと短い話)受付のマリューお姉さんに恋をした男、アズラエル君の最期。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 会社の受付のお姉さんは、きれいな人!新卒は、夢いっぱい!一緒に、なりたい!「あんなに、一緒だったのに」なんて、過去形はいやだ!

 新卒は、異世界日本の会社でも、輝く命。

 「ああ。受付のマリューお姉さんに、ちゃんと、声をかけてもらえたら…」

 ドキドキ気分な、彼。

 新入社員の男子も、つらいよ。

 ああ。

 お姉さん!

 「お姉さんと、ずっと一緒にいたいよ…」

 新卒は、日本最凶クラス!

 未来の、働かないおじさんやおばさんにならないようにしておくれ。処理が、面倒だから。

 日本のリアルは、世代間バトルだ!

 「お姉さんのほうは、彼にたいして怒っていた」

 そんなことすら、新卒君には、わからない。

 「新卒!しっかり生きて、そのまま、死になさい!」(←このセリフの元ネタは、わかりますか?)

 新卒入社組のほうは、入社先の受付お姉さんに、気になりまくり。

 「マリューお姉さんって、きれいな人だよな。みずみずしい唇に、ふわっとなびく髪が、色っぽい」

 「しっかりと、振り向いて、ほしいよなあ…。受付のお姉さんも、やっぱり、俺たち新卒世代が、好きかなあ?」

 りりしい、お姉さん。

 目も、りりしかった。

 ヘラヘラした感じじゃないところが、今どきの過保護世代でない、強い女性だっていうことを思わせた。

 「きれいな人、だなあ…」

 ぐっと、きていた。

 「どう?アズラエル君?」

 「あ、ナタル課長!」

 課長には、声をかけてもらえるんだけれどなあ。

 「どう?あの子、良い子だと思わない?」

 「は、はい…!」

 「正直ねえ、君は」

 受付のマリューお姉さんは、いつだって、きれいだった。

 ナタル課長は、不思議なこと言い続けていた。

 「受付のあの子は、ずっと、かわいいままなのよ?」

 …はて?

 どういう意味?

 「ねえ、君?」

 「はい、ナタル課長!」

 「受付のあの子って、私が入社したころから、何も変わらずに、きれいなのよ?」

 いや…。

 「何も変わらず?」

 それは、いくら何でも…。

 が、言うとセクハラになりそうなので、口を閉じる。

 「うーん…。本当に、いつまでも若いんだろうか?」

 いつまでも若いって聞いたら、ドラキュラ伝説を思い出した。

 「男子が、ドラキュラ王妃に、生き血を吸いとられる。王妃は、男子のその血を浴びることで、若々しさを保つ」

 たしか、そのような話だったんじゃないかな?

 お姉さんは、毎日のように、彼を見つめてきた。

 「え、え?俺、お姉さんに、好かれているのか?」

 彼は、うれしくてならなかった。

 「俺って、逆プロポーズをされているんじゃないか?」

 さらなるドキドキは、その翌日に。

 「ねえ…?」

 「キター!」

 ついに、お姉さんに話しかけられた!

 彼は、飛びあがらんばかり。

 「あのね、新卒君?」

 「は、はい!マリューさん!」

 「お願い!私のとなりで、ずっと、寝ていてほしいの!」

 「…じ、自分が?あなたの、となりで?」

 「ええ」

 「ほ、本当ですか?」

 「ええ」

 「ずっと、となりで、寝ていられるんですね!」

 「もちろん!」

 「…へ?」

 チェーンソーを取り出した、マリューお姉さん。

 「ブルルルル…」

 愛の炎な刃物が、動き出す。

 これで、眠れそうです。

 永遠にね。

 ただし、マリューお姉さんが横にいるかどうかは、わかりません。

厳しく育てられて、捨てられる怖さ。

 過保護な新卒世代も、知っておいたほうが良いと思うよ?

 





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