異世界のすゝめ【二十首連作】

水城みつは

異世界のすゝめ

初雪にはしゃいで落ちる隠れ池今世を憂い前世が流る

おぼろげな遠き故郷を振り返り五歳の冬の新たな世界


西洋に輪廻転生生まれ落ち見渡し見える幻想世界

幻想の百鬼夜行も野に在りて西洋非ず異世界と知る


ガス灯と見上げた光夜の道精霊灯と呼ばれるを聞く

ふんわりと夜道を照らし光舞う精霊灯の魔力の残滓


蛍火と見紛う光流るるは精霊と言う幻想の民

余人には常には見えぬ精霊が見えると知れど秘するか悩む


我が身から溢れる魔力多けれど魔法は十の決まり事あり

火に水に風に土よと不可思議に魔法が浮かび心が躍る



異世界、精霊が踊り、ドラゴンが飛ぶ。一騎当千の探索者シーカー達。

迷宮ダンジョンは宝を産みて人を呼び、探索者シーカー達は深淵アビスに消える。

幻想の住人たちが闊歩する、深海の街、天空の城。



絵本にて掻き立てられるあこがれと英雄たちの冒険譚よ

あざやかな童画見れるは裕福な今世の身分が高いお陰か


喧騒と怒号が響く早朝の荒くれ達が門を旅立つ

腰に佩く刀に非ず直剣は遠き故郷と異なるを思う


窓越しに長く伸びゆく城壁と魔境を見張る物見の櫓

赤と白二つの月に照らされるここは辺境の城郭都市


図らずも幻想世界生きていく光舞うあゝ異世界

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