第68話 学校でも認められる存在
「よし。終わった! 」
時刻は17時。放課後に突入にして、ようやく本日の生徒会長の業務をやり遂げた。晴斗は両腕を上げ、大きく伸びをする。
「お疲れ様。……はい。これ飲み物」
千里が晴斗に労いの言葉を掛け、お茶を差し出す。湯気は上がっていないため、おそらく冷えたお茶だ。
「ありがとう。……ふぅーっ、生き返る~っ!」
プラスチックのコップを受け取り、晴斗はそのまま口に流し込むようにお茶を飲み干す。よほど喉が渇いていたのか、ゴクゴクという音まで聞こえてくる。
「晴斗。もう仕事も生徒会長の仕事も終わったし、そろそろ帰らないか? 」
そう言って架純はカバンを肩にかけながら自身の専用席から立ち上がる。
「私も賛成! もちろん晴君は私達と一緒に帰るよね? 」
祐希も便乗し、帰宅する準備を始める。
「玲香も。今日はバスケ部の練習はOFFだから。一緒に帰れるし」
玲香までも一緒に帰ると言い出した。
「それじゃあ白中君。うち達も帰りの支度を始めない? 」
千里は優しく微笑む。
「どうやら、その必要がありそうだね」
晴斗と千里も架純達が帰ると言うことで、同様に帰り支度の開始を始めた。
まず晴斗は空になったコップを自身の机に置いたままにし、生徒会室の鍵を手に取る。
生徒会室を出る前に千里がコップを回収する。
「それじゃあ帰ろうか」
晴斗の呼びかけに、その場の美少女達は皆が一同に頷く。
晴斗が生徒会室の鍵を施錠し、昇降口に向かう。
昇降口に到着すると、全員が靴に履き替えるまで晴斗は待機する。いち早く靴を履き替えたのだ。
「お待たせ。それじゃあ行こうか」
祐希の声掛けで、全員揃って校門を目指す。どうやら祐希が最後だったみたいだ。
「おいおい。生徒会のメンバーだぞ」
「こんな時間まで残ってんのかよ。まじか」
校門前には数人の生徒が溜まっていた。おそらく部活動を終えた人間達だろう。室内の運動部の外練習があったのかもしれない。室内、特に体育館を使用する部活は他の部活と体育館を交互に利用する。そのため、自然と1週間の内の何日間は体育館を使わない外練習になる。
「すごいよね。生徒会の美少女4人だよ」
「それに生徒会長もいる」
屋外で練習する女子の吹奏楽部員だろうか。その視線は明らかにこちらに向けられていた。
「4人の美少女達は高スペックらしいけど。生徒会長もすごいよね」
「うん。確か、試験の成績は学年でトップ30位に食い込んでるし、運動神経も抜群らしいよ。1学期は学業も運動も大したことなかったらしいよ」
「それって努力した結果、2学期では勉強も運動も成績が上がったと考えられるよね。努力家でかっこよくない?」
「確かに~。私、生徒会長のこと好きかも」
吹奏楽部員の女子達は晴斗の話で盛り上がる。
(なんか恥ずかしいな)
晴斗は頬をポリポリ掻きながら苦笑いを浮かべた。知らない女子から褒められる経験は初めてだった。嬉しさと照れが混じった感情を抱く。
キッ。
架純、祐希、千里、玲香の4人は鋭い眼光で周囲を牽制する。一瞬にして静まり返った。
「「…………」」
4人に睨まれた女子達は怯えるようにして足早に去っていった。
「さっ。さっさと校舎を抜けてしまおう! 」
「そうそう! 晴君が過剰に注目されないようにね」
架純と祐希は晴斗の背中を強引に押し、無理やり前進させる。千里と玲香も続いて進む。
「ちょ!? 待って自分で進めるから」
晴斗の声に反応せず、ひたすら他方の4人は足を進め続けた。校舎を差し掛かるまで。校舎に差し掛かったところで晴斗はようやく解放された。
いじめを受けて限界に達し、警察を呼んだ。いじめの中心人物は学校から消え、クラスメイトから恐れられるようになった。しかし、風紀委員や学級委員、生徒会などの美少女から好まれ、興味を持たれた 白金豪 @shirogane4869
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