29.開戦-代償①

貉「……もう終わりか?呆気ないな。」


……目を横にやる。

そこには日和が壁に打ち付けられて、そこで動けなくなっている。

身体中が傷だらけで、血が流れている。

……ボクは


雫「……なわけないだろ、お前は絶対にボクが殺す」


今まで感じたことの無い

怒りを

感じた。



日和「……分断、されてしまいましたね」


雫「おう……どうする?」


日和「……進むしかないでしょうね。」


雫「……了解、行こうか」


日和「……はい。」


ボクは廊下を進んだ先の扉を開けて、その先の部屋に入った。

その瞬間だった。

落ちてきた。

瓦礫。

日和が巻き込まれて。

車椅子から落ちて、足を怪我した。


日和「っ……!?」


貉「……はは、どうだ?いいサプライズだっただろ?まだあるぜ」


そう言って奴は日和に勢いよく蹴りを入れた。

日和はその勢いのまま壁に打ち付けられた。


日和「あ……ッ、あ……!」



貉「……おいおい、そんなにまでそいつに思い入れあんのかよ?ねえだろ?なにキレてんだよ?」


雫「……黙れ、日和はボクの、ボク達の仲間なんだよ」


念を込めて、奴の首を締め上げる。


貉「……っ、かは……ふーん……なるほどね?でもさ、そんなんでやられるわけないんだよね」


奴はこちらに走って急接近して、蹴りを入れようとしてくる。


雫「無駄だよ」


こちらに蹴りを入れる前に、サイコキネシスで奴を地面に叩きつける。


貉「……っ、あぁ……?こんな強ぇのが居るなんて聞いてねぇんだけどな……」


雫「……降参すれば?」


貉「……は、面白い冗談だな。仕方ねぇ……こっちも本気出してやるか。」


奴がそう言った瞬間、ボクは奴のいる場所に引き寄せられた。そして、そのまま腹に強烈な蹴りを入れられた。


雫「……ッ!?あっ……!?」


貉「……何が起きたか分かってねぇって感じだな。まあ……お前とやってる事は大して変わんねぇよ。よし、ここからは私の独壇場かな?」


そう言うと、今度は蹴りを入れられて吹き飛んだボクの方向に引き寄せられるかのような動きで奴が急接近してくる。


貉「おらよ」


そしてそのまま、二度目の蹴りを入れられた。


雫「ッ……!か、はぁ……っ、はぁ……ッ!」


貉「おいおい、もう苦しそうにしてんな、降参するか?」


雫「するわけ、な……」


貉「しても止めねぇけどな。」


三度目。今度は、拳で。

腹部を執拗に攻撃されて、息が苦しくなる。


貉「抵抗してみろよ、お前はその程度なのか?」


奴はそう言いながら攻撃を続けてくる。

集中できない。超能力が使えない。まずい。


貉「……これで終わりか、あっけなかったな」


奴は、足を思いっきり振りかぶった。

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ナイト 霙吹雪 @APOMI

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