第2話 冒険のはじまり
ヒロミが目を覚ますと、眼前には見知らぬ少女の顔が視界に入った。
「あれー、起きちゃいましたか…?」
ピンクのフリフリのりぼんの少女が、アニメ調の黄色い声で、眼前に迫っていた。
「こら、エスメラルダ…彼は、患者だよ。」
側にいた長身で細身の女は、タバコを吹かしながらエスメラルダを軽く睨みつけた。
「あはは、ごめーん。ごめん。でも、彼…何しても起きないから、」
エスメラルダは、軽く舌をペロッと出しマーカーを持つ手を止めた。
「あの…ここは…?」
ヒロミは、状況が分からす辺りを確認した。
頭が、酷くガンガン痛む。
「ここは、我々『スコーピオン』の秘密基地だ。」
「『スコーピオン』…?」
「我々は、『アルカポリス』という、世界を破滅に導く組織と戦う、異能力集団なんだよ。」
「え…!?あ、あの…これは特撮か、何かのドッキリですか…?」
ヒロミは、頭が真っ白になった。コミケでよく見るコスプレイヤーのような奇抜な格好をした女が、ヒーローもののアニメやドラマで聞くようなセリフを真顔で語っている。もう一人の少女は、プリキュアで見るような派手なコスチュームを着てしていた。
ヒロミは、自分がテレビ番組のドッキリに選ばれたかと思い、訳も分からすキョロキョロと辺りを伺う。しかし、カメラらしきものは何処にもない。
「まあ、落ち着きなよ。これは、ドッキリでも何でもない。君も見ただろう…?あの、惨状を…」
そこで、ヒロミは、ハッとした。
「あ…あの時、魂が…黒いコート着た男が…」
ヒロミは、不安になり再び辺りをキョロキョロ見回した。
「ふむ…。やはり、君も見たのか…」
シオンは、真顔で腕を組んで考えてこんでいた。
「あ、あれ、あれは、何なんですか…?」
「アレが、例の『アルカポリス』という集団の一員だよ。あの、黒いコートの男は、その部下だよ。」
シオンのかなり生真面目で深鬱そうな表情から、ヒロミはドッキリではないと悟った。
「ドッキリじゃないんですか…?」
「これを見たまえ。」
シオンが、腕時計型の装置をカチカチ押した。すると、青白い光が放出され、見慣れない世界が映し出された。
夕日に照らされた漆黒のビル軍が、 天まで届き そうな位快々とそびえていた。 空には無数の 奇妙な形の車が縦横無尽に飛び回ってい た。 別の窓からは巨大な要塞じみた建物に、 巨大なビル軍が睨み付けるかの様にずっしり構えている。
街のいたるところで、氷の塊のようなもので出来た狼が、目を赤くギラつかせチョロチョロ歩き回っていた。
所々に干からびたような人が歩いており、狼は見つけると、牙で八つ裂きに切り裂いた。
「これは、何なんですか…?」
ヒロミはブルブル震えた。街な規模は、首都圏より凄いが…如何にも無機質で温かみがなく、不気味な生き物か
「これは、私らの世界だよ。この街は、奴らアルカポリスの手に落ち狂ってしまった。無能力者は殺され、能力者だけが許される。」
この、シオンの真剣な表情と状況からヒロミはドッキリではないと悟った。
「そこでだ、私らは君を探していたんだよ。」
「な、何なんですか…?いきなり…僕にそんな力は…」
さっきから、状況が全く飲み込めず頭が真っ白に停止した。
「君は、私達の世界を救う、『救世主』なんだよ。」
シオンは、かなり深鬱な表情でヒロミに詰め寄った。
崖っぷちな俺、滅びの世界に光を灯す救世主に選ばれました。〜悪の討伐は、荷が重すぎる…〜 RYU @sky099
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。崖っぷちな俺、滅びの世界に光を灯す救世主に選ばれました。〜悪の討伐は、荷が重すぎる…〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます