02 召使いの敗北
レオは私の愛猫だ。
茶トラの長毛はふわっふわのもっふもふで、黄緑色のまんまるな目がとっても可愛い。その愛らしすぎる姿を前にして、下僕にならない人間なんていないだろう。
下僕にとってはお世話も幸せな時間だ。私が用意したごはんを美味しそうに食べ、ブラッシングをすれば心地よさそうに目を細める。見てはいけないと思いつつも、排泄するときのふんばりポーズが好きでチラ見してしまう。排泄のたびにトイレ掃除をすることに名誉すら感じる。
そして、お世話の中でも運動は最高に幸せな時間だ。猫じゃらしやぬいぐるみを追いかけて飛び跳ねたり、猫パンチや蹴り蹴りを繰り出す姿からは、強めの癒しパワーが放出されている。野生を忘れ腹を見せて眠る姿とのギャップがたまらない。
平日は少ししか遊べないからこそ、たくさん遊べる日曜日には気合いも入る。
レオは今日もキャットタワーの一番上まで登りくつろいでいた。ネコチャン第一で整えたこの部屋の中でも、特にお気に入りの場所なのかもしれない。
「レオー、遊ぼ~」
「ナァーォ!」
元気いっぱいのお返事も可愛い。スタっと降り立つ凛々しい姿も可愛い。ピンと立てたふわふわの尻尾も可愛い。あまりの可愛さに口に含みたくなる。
エビのぬいぐるみを目の前で揺らすと、目が満月のように丸くなった。更にすばやく動かすと、猫パンチをお見舞いされる。ぷにっぷにの肉球で殴打されるぬいぐるみが羨ましくなってきた。更には、小さくも鋭い牙でがぶがぶと噛みつく。この世にこんなに可愛い生物が存在していて良いのだろうか。良いに決まっている。猫は神が創りし至高の生物。
そして最後には、後ろ足で何度も蹴り蹴りし、満足そうに鳴き声をあげた。
「グルルナァ~ン」
「んん~、レオたん可愛いねぇ~」
あまりの可愛さに床に這いつくばってしまう。どの角度から見ても可愛い。全方位に隙がないから当たり前なのだが、斜め下から見る
そうして眺めていたら、散々に蹴ったエビのぬいぐるみをポイっとその辺に放り、レオが私の背中へ登ってきた。下僕として悲鳴を上げざるをえない状況だ。
「ありがたき幸せェ!」
百獣の王と召使い 十余一 @0hm1t0y01
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