第2話 ここはとある大学

日本のとある田舎の大学。ここは昔、総生徒数8000人を超える大学だったが周囲の都府県の都市化により衰退。今は総生徒数180人で校舎を余らせてしまっている。そこで最近、学長の一声で生まれた企画が月1回のサバイバルゲームSIC(Survival In College)。広大な校舎を生かしたこの企画は、とんでもないルールを抱えながらも学生からの人気は厚い。

そのとんでもないルールというのが……

「2位ってことは、単位は取得数の1.5倍か。少ないなー」

ゲームでの順位平均値によって総単位が変動するということだ。チーム戦の場合90チームできるのだが、90位~51位は取得数の0.8倍。50位~21位が等倍。20位~3位が1.2倍。1位は2倍、という仕組みである。

もちろん単位は進級や卒業にかかわるので、文字通りのサバイバルゲーム。

ショーヘイとミノハのチームMISH(ミッシュ)は今回7月大会において2位。よって8月に取得する単位の数は実際の1.5倍となる。

「十分高いし文句言うのはやめましょ。そもそも等倍以上であれば本来通りの大学生活でいいわけだし」

「何言ってんだよ、ミノハ。1位なら2倍だぜ?単位半分落としても平常なんだからせこいよなー」

大会次の日の昼休憩時間、ショーヘイとミノハは昨日大会の反省会をするために食堂で集まっていた。といっても、毎回反省会はくだらない愚痴の後から始まるのだが。

「しっかし、1位のチーム……REWAC(リワック)だっけ?めっちゃ立ち回りうまかったな」

「わたしたち2人を分断し片方をトラップで囲い込み。そのうえでもう片方を部屋に追い込むってねえ。しかも正体不明っていうのが寒気する」

本来、上位に入るチームはそれなりに目を付けられる。それぞれ自分のまけたチーム同士が情報共有すれば、多数撃破を果たし残っているチームを絞れるはずだからだ。しかし、MISH含めREWACに撃破されたチームは全員顔を見れていない。REWACは奇襲か相手から見えない位置で攻撃するのだ。その手際の良さもあり4月からずっと優勝はREWACである。

「先輩たちに聞いてもそんなチームなかったって言ってるしなー。同じ1回生ってことだろ?やべーな」

「そうは言うけど、わたしたちだって一回生でずっと準優勝なんだから。相当狙われてると思ったほうがいいよね」

「撃破チーム数は俺らのほうが多いしな。そう考えたらREWACってイモリが多いのかな」

イモリとはサバゲーにおいて”ずっと隠れているもの”という意味であり、馬鹿にする対象ともいえる。しかし、それでも優勝するなら文句は言えないが。

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学内サバイバル 単位をかけて 魚玉 @Gyotama

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