学内サバイバル 単位をかけて

魚玉

第1話 優勝チームは

「こちらショーヘイ、11号館302号室で敵に追い込まれている!ギリギリ机の陰に隠れてるけど時間の問題かもっ」

「こちらミノハ、こっちはトレーニングルームの周囲に仕掛けられたトラップを解除しないと出られない!なんとか1人で――」

ドンッという爆発音がイヤフォンの向こう側で聞こえた。それと同時にポケットの端末が震える。メールが来た時の通知だが、内容は見なくても分かった。ミノハがトラップの解除に失敗して吹っ飛んだのだ。チームのメンバーがリタイアしたとき、通知とともにイヤフォンの反応がなくなる。向こうのノイズが聞こえないのもそういうことだろう。

ショーヘイは一瞬で切り替えて目の前の敵をどうするか考える。おそらく敵はチームの人数2名とも残っている。入口、出口ともにふさがれているため部屋からの離脱は困難。一応窓からという手も残っているが、ここは3階。人が飛び降りるに安全な高さではないし、ゲームのルールに違反する。そうこうしている間に自分のすぐ近くに何かが転がってきた音が聞こえた。

「くっそっ、ここまでか」

敵が部屋の奥に向かって手榴弾を投げてきたのだ。次の瞬間、ものすごい音と同時に大量の特殊インクが広がりショーヘイの体に降りかかった。この特殊インクが被弾、被爆の証明。インクの付いた量に応じて服が判断しダメージ量が変わる仕組みだ。もちろん至近距離での爆発を受けたショーヘイがほんの少しのダメージで済むわけもなく、ゲームが終了した。

≪優勝チーム:REWAC(リワック)≫

学校中のモニターに表記されたチームは今年度すでに3回の優勝経験を誇る、メンバー不明のチーム名だった。


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