ポスト・アポカリプス・ポスト

結 月が昇るし日が沈む

追伸４：ミロッチ４巻持って行けそうにないです、ごめんなさい。でも、味見（あじみ）先生が本来描きたかったものが見れて、本当に幸せでした。何をどれだけ禁止されようと、笑われたり咎められたりしようと、人間の心の内だけは自由なんだって、思います。本当は会って話してみたかったんですけど、それも無理そうです。ごめんなさい。

追伸５：家、見ました。MiMiさんが無事そうでよかったです。でも家、なんか変なやられ方してますね。不謹慎だけど、ちょっと笑っちゃいました。

　手紙を読んで、思わず吹き出す。この子の無遠慮なところを私は気にいっていた。それでいて本当に触れてほしくないところは絶妙に避ける、賢い子だと思う。文面を見るに、私ことMiMiが『見ろ見ろミロッチ！』の作者「味見（あじみ）つまみ」であることには気づいていたような気がする。だが彼女は、それに直接触れない。ただ、ミロッチのファンサイトで出会って意気投合し、お遊びで文通を始めたペンフレンドのMiMiとして扱ってくれた。感謝しかない。

　もう一度手紙を読み返す。無遠慮さがあるからこそ、ある種の真理を突いた言葉も飛び出すのかもしれない。発展を禁じられ２１世紀の初頭から停滞し続けた人類も、心の内だけはいつも自由だったと私も信じている。

「だから、それでよかったではないか。なぁ……」

　結局人類が選んだのは、心ではなく物質的な自由だった。縛っていた者に歯向かい返り討ちに合い、自由以上のものを失った。

　だいたい私のマンガにケチつけたのは人類だけだぞ。別にいいじゃないか、宇宙人を良い奴に描くぐらい。知らなかったんだから。よく考えたら知らなかったのだって隠してたお前らのせいじゃないか！

　むむむ、ムカついてきた……このムカつきを漫画にしてやる！

拝啓

　きっとこの国に季節は戻るはずなので桜花爛漫の候　如何お過ごしだろうか。

　まずは、長旅お疲れ様。玄関で物音がした気がして、この手紙を見つけた時は本当に驚いたよ。まぁ私も今からこれを持って行くから、同じ驚きを味わうといい。

　４巻については気にしないでほしい。実はあと５冊は持ってるので全然平気だったりする。クネロンについての感想は本当に同意見だ。仕方がないけど、惜しい。

　私も道中のことを付け加えようと思うので、とりあえず締めの挨拶をしておく。

　季節の変わり目はまた来ると思うので、体調に限らず色々気をつけて。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

追伸：漫画を同封したので、よければ感想を聞かせて欲しい。世界がこうならないと描けなかった漫画だと思う！　そう考えるとよかった！　みんなみんな吹き飛んで！

〈『ポスト・アポカリプス・ポスト』　了〉