殺人を犯す人間の心理とは?

主人公の男が車で帰宅しているときに峠の途中で雨合羽を着た女性を乗せる。
高崎と名乗る女性は始めはたわいのない自身の身近な話をするが、カーラジオから連続しているバラバラ殺人事件についてのニュースが流れると事件の話に変わり、そこから猟奇殺人の犯人像へと話が進んでいく……。

「殺人を犯す者は正常か否か?」
人を殺し見つからないように死体を処分するには正常な判断が必要。しかし死体をバラバラにするには普通の人間の精神状態では耐えることは出来ない。
禅問答のような問いだが、会話が進んでいく内におぼろげだった犯人像が徐々に輪郭を表していくと共にその答えへと導かれていく。
そして殺人犯の真の目的があらわになると高崎が発した言葉の意味がパズルのピースがはまる様に繋がる。

車の中という狭い空間で謎の女性、高崎が理論で主人公を追い込んでいく様は臨場感があり、短編サスペンスドラマを見ているようなハラハラドキドキを感じて一気に読んでしまいました。面白いです。