第9話
街を歩く大量のぬいぐるみ。
最初はただプラカードを持って歩くだけだったぬいぐるみたちの行動は徐々に洗練され、高度な行動を取っていく。
愛嬌ある行動で人々の好感度を稼ぐぬいぐるみ。
薬物をやろうとしている人間を必死に止めるぬいぐるみ……そして、止められなかったら泣き崩れるぬいぐるみ。
謎の中毒性で持って人々の心に残るぬいぐるみ。
いつしかぬいぐるみのお願いであれば何であっても行うようになる人間たち。
日ノ本中央政府はいつしかぬいぐるみたちによってこれ以上無いほどに侵食されていた。
「やりすぎよ」
「えっ?」
せっせとぬいぐるみを量産し、街にばらまいていた僕のもとに結衣がやってくる。
「神祇院の方に苦情が来たわ。どう考えてもやりすぎよ……というか、あの依存性は何?」
「魅惑の神聖術をかけただけ。この後は徐々に魅惑の効果を下げ、ぬいぐるみたちから自立させるだけ……薬物と違って脳に変化を齎すようなものではないし、安全だよ?」
「……それでも、ね。ちょっとお偉いさんが柴旅の行動に対して不信感を抱いているわ」
「むむぅ……僕は出来ることをただただこなしているだけなのに」
「貴方に出来ることのレベルが高すぎるのよ。このまま行ったら貴方という存在個人で様々な組織
「ふにゃー、僕ってばそんなこと望んでないのに……」
僕はただただ早く仕事を終わらせて、自堕落な生物らしい生活を送りたいだけだと言うのに。
「あぁ……それとそうだ。今回の一件。僕だけの解決は無理だよ」
っと、ここまで不満の声を漏らし続けていたタイミングで僕は結衣へと声をかける。
せっかく結衣がいるのだし、報告もやっておこう。
僕の上が誰かなのか、どこに報告を出せば良いかわからんかったんだよね。
「え?」
「街の治安の悪化させている巨大組織が裏にいるよ……確認出来ているだけで神祇官クラスの敵が三人。他、雑魚多数。今の所深追いはしていないけど……深追いしたらちょっと僕に被害きそうかなぁ。どうすれば良いと思う?」
「え?……えっ?」
僕の言葉に結衣は驚きの声を漏らした。
零堕の唯一神 リヒト @ninnjyasuraimu
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