第8話
結局のところ。
治安の悪化に対する対抗策として僕が警察に協力することで正式に決定した……普段は神祇官に力を貸している柴旅が自主的に力を貸したという形で。
「……こんなことって、こんなことって無いよぉ」
結衣など他の神祇官からの力も、何なら神祇官の卵からも力を借りちゃ駄目。
そして、なおかつ警察は僕の手助けをしてはくれない。
僕は孤軍奮闘しなければならないのだ……こんなひどいことはないだろう。
「うぅ……家からも追い出されたし。これが泣きっ面に蜂かぁ」
僕が神祇官用のマンションに出入りすることまで問題視され、一時的に自分の家からも追い出された。
警察から与えられたマンションの小さな部屋が僕の新しい家である。
「なんで僕がこんなことしなきゃいけないんだ……」
上からの命令とは残酷である……結衣からも頼まれたし、ちゃんと頑張らないといけない。
「はぁー」
ため息をつきながら僕は大量に購入したぬいぐるみへと神聖術をかけていく。
命令は簡単。
治安の回復や不審者に気をつける旨などが書かれた看板を掲げること。
不審者がいたら看板で戦い、ボコボコにすること。
これだけだ。
ついでにぬいぐるみの目には神聖術で巧妙に隠されたカメラを搭載している……監視もバッチリ。
何かあればすぐ取れる。
「……僕のぬいぐるみ軍団」
そんなぬいぐるみを約1000体。
まるでデモ行進を行う群衆かの如く街を歩かせれば否がおうでも話題になるし、治安対策にもなるだろう。
続々とアップデートを行い、ぬいぐるみを洗練させていく。
僕のぬいぐるみ軍団で治安を回復させる……これが僕の計画である。我が計画にぬかりなし。
ある程度好きにやってもいいと言われたので好き勝手してしまおう。
「ふふふ……サクサクと終わらせてやる。絶対に時間などかけてたまるものか。僕は好きなように休むのだ……ッ!」
僕は生命である。
寝たいときに寝て、食べたいときに食べて、発散したいときに発散する。
そんな当たり前の生命である……僕の生命活動を阻害する仕事が急に舞い込んできたのである。
許せるはずもなし。
早く終わらせようとするのが当然の理であろう。
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