第7話

 日ノ本中央政府の政治体系は大日本帝国時代の日本の政治体系に一番近いのかもしれない。

 天皇陛下を絶対の頂点として置き、万が一の際は強権を発動して国を自由に動かせる。

 だが、平時は天皇陛下が自身の持つ権限の行使を自重している結果、実質的な民主主義国家となっている。

 ちゃんと選挙も行われているのだ。

 

 しっかりと三権分立の制度も整っている。

 内閣、国会、裁判所の三つが揃い、権限の大きさも平等になっている。

  

 全ての頂点である天皇陛下の下につく内閣と国会と裁判所に、内閣が管轄する治安を維持するための警察権力。

 そして、天皇直属で国を動かす様々な官庁とは別枠の権力系統の神祇院。

 

 日ノ本中央政府はこれらによって成り立ち、勢力を維持している。

 治安維持なら警察並びに内閣……だから当然結衣が捕まえた犯罪者をどうするかは警察の管轄となる。

 神祇院としてはノータッチを貫くのが正解。

 

「ふぅむ……」

 

 なのだが、結衣が治安維持に協力したいとの申し出をした結果。

 色々と話がこじれてしまった。

 別にどっちでもいい神祇院と力を借りたくはあるが神祇院にデカい顔をされたくもない内閣と自分たちの勢力を奪われたくない警察たちの三者三様の思惑が絡み合い、現在。

 結衣の申し出に対してどうするかを会議中である。


 内閣総理大臣と神祇院総裁と警視総監が僕たちの目の前で。

 自分の申し出がここまでの大ごとになったことで結衣は冷や汗を垂らしているし、桜は自分の前にいる天上人を前に吐きそうになっている。


「なかなか決まらんのぅ……ほれ、そんなにもわしらにデカい顔されたくないのであれば柴旅はどうじゃ?あ奴は神祇官ではない。柴旅の力であればただの民間人が手を貸した形となり、わしらの手を借りたことにはならん。どうじゃ?」


「「なるほど」」


 神祇院総裁。

 彼女の言葉を聞いた内閣総理大臣と警視総監の視線が揃って僕の方へと向けられる。


「えっ……?」

 

 急にやり玉へと挙げられた僕は困惑を上げた……ここで僕に来る?

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