第5話 2月
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多分間違っていないと思う
初めて帰り道で一緒になった
仕事の後に誰かと合流して
駅まで歩いて帰る
私には今まで何故かこの機会に巡り合ったことがなくて
君は私にとってその初めてだった
その頃はまだお互いの年齢も
学年も趣味も
住んでいる場所も何も知らなかった
でもなんとなく居心地が良かった
自分が頑張らなくても
分かってくれるような感覚があった
今思い出しても
あの胸のドキドキは忘れられない
冷静を装ってたけど
すごく胸がバクバクして
相当テンパった
今でもあの時の寒そうに
上着のチャックを上まで上げて
口を隠してる君が
忘れられない
初恋だった
これだ
これが恋に落ちるってことか
本当の恋は
自分がどう見えているか
君が自分のことをどのくらい好きか
これから先君の何かになることができるかどうか
全部どうでもよかった
感覚がわからない
今までの好きとは違って
心がまっすぐ君に向かっている気がした
ここからが全ての始まりだった
恋を自覚した
好きな人がいることは幸せだ
辛いことも大変なことも
時に忘れるほど
でも誰かを好きになることは
その誰かに好きなってもらいたいという
欲望に変わる
その欲望は果てしなくて
私には手段が分からなかった
だから簡単なことから始めた
笑顔で挨拶をして
なるべく名前で呼んで
好きなメイクをして
好きな服を着て
神様を味方につけるために
毎日丁寧に物事に向き合った
しっかり者の私にとって
恋愛から程遠い私にとって
これが精一杯だった
それでもなんとなく話す機会は増えたし
なんとなくだけど近づけた気がした
恋愛はこれくらいの時期が
1番良いらしい
もっと君のことを好きになると
切なさが待っている気がして
嬉しさと同時に怖さが待ち受けていた
2/11
友人のみさとにこの気持ちを打ち明けた
この友人は後々のキーパーソンになったり
ならなかったらするから
覚えておいてほしい
みさとはすごい
私と全く正反対で
恋愛に対する知識は計り知れないほどあった
みさとからは「好きなんでしょ、チョコあげればいいじゃん」の一言だった
そのチョコをあげるだけのことができないのだ
こういう時毎度自分にがっかりした
常に計画性を持っている私は
まず口実探しをして
どうやって渡すのかを想像する
一度頭の中でシミュレーションをし
可能性と不可能性を考える
何度もシミュレーションをした
無理だ
まだ早い
これに尽きた
タイミングがまだな気がした
今思うと間違えた選択ではなかった気がする
私は昔から時間をかけて人を好きになるタイプだった
好きになるのにも時間がかかる
想いを伝えるにも時間がかかる
それをずっと悪いことだと思っていた
自分の自信のなさや
意気地なしな性格だと思っていた
でも人は
こんなに想いを伝えるのが苦手な私でも
言いたい気持ちが確実にある時には
下手くそなりに
口にすることができた
今じゃない気がする時は
今じゃない
今だと思う時は
うまく行く
その時が来るまで何年でも待てば良い
いつまでもその今が来ないのであれば
もしかしたらその人は君にとっても
運命ではないのかもしれない
その今が時期に関係なく
やってくるならば君にとって大切な人であろう
2/12
当時の自分は
夜になると
チョコレートを渡すのか渡さないのかを
毎日考えていた
渡したいけど今じゃない
これは単なる言い訳のようで
自分から逃げている気がして
嫌だった
2/14
バレンタイン、、
私はまだ本当に好きな人に渡したことがない
初恋日記 @likuru
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