最終話 ステータス確認

 ステータスを確認したいよな。よし、


「ステータスオープ……」


ピコーーン! ピコーーン!


 な、なんだこの音は?

 右手の甲から聞こえて来るのか?


『タイムアップ』


 また女の人の声。

 同時に俺はその場に倒れた。


 あれ?

 体が動かないぞ??

 強烈に眠い!


「……ら、らめら。我慢れきない……Z Z Z」





 気がついた時はベッドに寝ていた。


「あれ? ここはどこだ?」


「あ! 気づかれましたか!」


 エルフのお姉さんだ。


 俺は寝ちゃったのか?


「昨日は激戦でしたからね」


 昨日……。

 1日、寝てたのか。


『ククク』


 と、俺の頬に顔を擦り付けるのはトカゲのクク。


「おまえ、元の姿に戻ったんだな」


 甲の模様も戻っていた。

 閉まった錠前と鍵の絵だ……。


 そういえば、俺が眠る直前に『タイムアップ』って聞こえたよな。

 もしかしたら、ククの封印が解けてカイゼルドラゴンに戻るには制限時間があるのかもしれない。

 強烈な睡魔はその反動かな?


「元気そうでなによりです」


「お姉さんが俺の看病をしてくれたの?」


「当然です。レンタ様は私の命の恩人なのですから」


「え?」


 いや、様付けは照れくさいよ。

 

「そういや、お姉さんの名前を知らないね」


「私はエレニア・ルゥ・フォーネイロと申します。エレニアとお呼びください」


「じゃあ、エレニアさんだね」


「呼び捨てでかまいません。あなたは命の恩人なのですから」


 そういうもんなのかな?

 まぁいっか。


「んじゃエレニア。ここはどこかな?」


「ギルドの2階の宿屋です。1階ではレンタ様のお目覚めをみんながお待ちしておりますよ」


 俺は1階に降りることにした。




「「「 すいませんでしたーー!! 」」」




 と、冒険者の一同は頭を下げる。


「なんのこと?」


「だって……。俺たちはあんたのことを見くびって笑いもんにしちまったからなぁ」


 そう言って申し訳なさそうにするのはレベル42のおっちゃんだ。

 彼を皮切りに、みんなは俺に頭を下げる。そして、この村を救ったことに感謝した。


 ははは。なんだか照れ臭い。

 まぁ、でもみんな助かって良かったや。


 エレニアは俺を別室に案内した。


「こちらが村人からの献上品です。村長をはじめ、大勢の方々から村を救ったことへと感謝の品が送られました」


「うひゃぁ……。山積みだなぁ」


 お金もあるみたいだ。これは助かるなぁ。


「あ、あの……。私は、これといったお礼ができないのですが……」


「え? ああ、別にいいよ。これだけ貰えたら当分は生活に困らないだろうしさ」


「そんな! それでは私の気が済みません! それにエルフの女は、恩人に対してそれ以上のお礼をするのが決まりになっているのです」


「そ、そういうもんなのか?」


「で、ですから……。その……。レンタ様の身の回りのお世話をできたらと思うのですが?」


「えええ?」


「是非!」


「いや……。ははは」


 そんな真顔でグイグイ迫られても困るな。

 まぁ、この世界のことはわかないことだらけだからな。

 彼女が側にいてくれたら助かるか。

 それに、冒険には仲間がつきものだもんね。


「んじゃ、よろしくね」


「はい♡」


 俺はギルドの酒場で食事をすることにした。

 この世界に来て初めてのご飯だ。


「うん。モグモグ。パンは硬いけど、中々、美味いな」


 パンをちぎってククに渡すと小さな手で受け取って美味しそうに食べていた。


 あ、そうだ。

 昨日見れなかったレベルアップの状態を見てみようか。


「ステータスオープン」





名前:レンタ・アサオ


ギルドランキング:87位


LV:82


攻撃:777


体力:500


防御:600


速度:102


知力:800


魔力:500


職業:魔獣使い。


スキル

:魔獣契約。:加速。

:アイテムボックス。:剛力。

:応援。


魔法

:ヒーリング。:ファイヤーボール。

:アイスアロー。:ガイアウォール。

:ウインドカッター。




 おおおおおお!

 なんかめちゃくちゃ成長してるなぁ。

 数値が爆上がりしてるし、覚えてる能力は多い。もう、どれから手をつけていいのやら。

 魔法も覚えてるし、これはワクワクが止まらないぞ。

 

「えーーと。このアイテムボックスってもしかして?」



○アイテムボックス

異空間にアイテムを収納して持ち運びが可能。



 うは!

 やっぱり便利なスキルだ。

 これで、さっきのお礼の品を収納できるぞ。


 気がつくと、俺の周囲に人が集まっていた。

 レベル42のおっちゃんが俺のステータスを見て呟く。


「す、すげぇ……」


「アイテムボックスってやっぱりすごいんだね」


「いや……。そ、それもそうだけどよ。兄さん……。百位以内チェンターになってるじゃねぇか……」


「え?」


 あ……。

 そういえば、ギルドランキングが向上して87位になってんな。

 グレイテストゴーレムを倒したのが影響してるのかも。


「すげぇ! ははは。すげぇよ兄さん!!」


 え?


「すげぇ! すげぇええって!! 百位以内チェンターなんて初めて見たぜ!!」

「すごいな。俺っちも初めてだ」

あたしも初めてだわ」

「こ、こんなに若い百位以内チェンターっているのかしら?」

「握手してくれ!!」

「サインくれよ!」


 は、ははは……。


「なぁエレニア。ギルドランキングの百位以内チェンターってそんなにすごいの?」


「はい。その実力は小国を築けるほどといいます。貴族や王族はその者を取り込もうとして争うほどです。また、百位以内チェンターの称号を持つ者だけにしか入れない特別なエリアがあると聞いたことがあります。その恩恵は計り知れません」


 へぇ。

 どんなエリアなんだろ? 気になるな。それにさ、


「同じ百位以内チェンターにも会ってみたいよね」


「お勧めはできませんよ。百位以内チェンター同士はわかりあえないと聞いたことがあります。おやめになった方が賢明かと……」


 やめろと言われたらやりたくなっちゃうよね。

 それに、俺よりも上の人がまだまだいるってことだからな。

 順位なんかつけられると……。


「よし決めた。ギルドランキングで上位をめざす!」


「ええ!? き、危険ですよ。百位以内チェンターの地位を狙ってレンタ様の命を狙う輩が現れるかもしれませんよ?」


 せっかく元気な体を手に入れて異世界に来たんだからな。

 冒険を楽しまなくっちゃ。

 俺には最強の相棒がいるしな。


『クク!』


 ふふふ。


「エレニアは危ないからさ。来なくても大丈夫だよ?」


「お、お供します。いえ、させてください。そ、それにまた眠ってしまったら誰がレンタ様を介抱するのですか?」


「そだね。ははは。助かるよ」


「いえ、当然です♡」


 よぉし、んじゃあ。

 

「まずはこの村を出て大きな街に向かおうか! 旅をして色々な経験をしたいよ」


「はい。お供させていただきます」


 今日は快晴!

 絶好の旅日和だ。


 ふふふ。どんな異界の風景が見れるんだろうな?

 それに、どんな人に出会えるんだろうか?

 人間以外の種族も気になるよな。

 モンスターだって、どんなヤツがいるのか想像もつかないや。


 ああ、すっごくわくわくしてきたぞ!


「行こう!」


『クゥーー!』


「ああ、待ってくださいレンタ様ーー!」




おしまい。






────────



ご愛読、ありがとうございました。


今作は、

カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト用に書いた小説となります。


よって、これから、という感じで終わらせました。

受賞すれば続きを書くことになります。

少年漫画みたいなワクワクが大好きなので、この続きは絶対にそんな話になりますよ!


続きを読みたい、面白い、と思った方は、

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異世界に転移したらギルドランキング最下位の魔獣使いになりました。スライムより弱いトカゲをテイムして上位を目指します〜え? おまえ、伝説のドラゴンだったの!?〜 神伊 咲児 @hukudahappy

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