ヒトマル

 一九四五年GHQ占領軍により廃止された警視庁特別高等警察部こと特高。

 その受け皿として警視庁公安部という組織があるが、俺の所属は公安部外事第一〇課。通称ヒトマル。おおやけには存在しない部署だ。

 法律で雁字搦がんじがらめの某組織の代わりに国防の最前線を担うヒトマル。

 ちなみに、所持する武器類は某組織の予算から支給される。ヒトマルとはそういう存在。




「駐在さん、百円拾ったよ」


「お、ちゃんと届けて来るのは偉いな。はいご褒美」


「百円貰ったー。ありがとう」


 走って行く子供たちの背中を眺めていると至急電が入った。


『国籍不明の特殊船舶確認。臨検』


「ヒトマル確認。遂行」


 駆けつけた交代要員と入れ替わりに、大型漁船に扮した高速艇で該当海域へと向かう。

 他の船舶から確認される恐れがない海域に出ると、多銃身式二〇ミリ機関砲がせり上がり、魚雷発射管がスライドして出てくる。

 機関砲の試射を終え装備のセッティング完了。国籍不明船への臨検準備が整った。

 こちらの指示に従わなければ即撃沈。この海域に現れる特殊船舶に容赦する必要は無い。

 やらなければやられる。ヒトマルの現場はそういう世界なのだ。

 本当かって?

 この小説が消されたら、そう言う事だ……。



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(「試」を入れて500文字以内)


ハードボイルド系になりそうな感じで描いてみました。

結果? 爆死でしたよ……ハードボイルドだけに。

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自主イベント参加短編作品集的な 磨糠 羽丹王 @manukahanio

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