「誰かの願いをひとつ叶える代わりに、お願いした相手が美少女に擬人化されますように」
若い男の子らしい、ちょっと不純な願い事から、この物語は始まります。
実際に美少女に擬人化されたのは、なんと蚊のメス……。主人公・育人の血を吸うことと引き換えに、美少女の姿になってしまいます。
さぞかし困るだろう……と思いきや、人間の姿を楽しむ前向きな蚊の少女。育人は彼女を「静さん」と呼ぶことにします。
種の違いから生ずる幾つかのすれ違いを乗り越えて、ふたりの絆は深まっていきます。しかし……。
「蚊あるある」小ネタを使ってふたりの間のすれ違いをうまく表現されているところが流石だなと感じました。
蚊の静さんと、人間の育人。決して結ばれない切なさを残した、美しい恋のお話でした。
ラストまで読み切った読者は、作者様の用意したサプライズにほっこりと和むことでしょう。